【ステキなBOOK 第19回】

田舎力 
ヒト・夢・カネが集まる5つの法則

著者 金丸弘美 
発行者 溝口明秀 
発行所 NHK出版

メディアや本を通して、田舎の「ひとも、カネも、なにも」を耳にすること、また感じることがありませんか。

さてさて、この言葉は、ほんとうなのでしょうか?
いえいえ、とんでもない!田舎には「田舎力」とヒト・夢・カネがあつまる「5つの法則」がそうです。
本書には、その法則が事例を交えて紹介されています。一体どんな法則なのでしょうか?

法則1 発見力
例えば、田舎での民宿経営。本書で紹介する長崎県の五島列島の北部にある小値賀には、アメリカの学生が訪れます。彼らに「日本らしいそのままの田舎のよさ」を感じていただくための「おもてなし」をすることで、田舎に暮らす人々も田舎や地域のよさを改めて知り、地域の豊かさをサービスとして、それをお客さまに提供します。このことにより、地域の経済が循環し、持続的な発展につながります。地域のよさや豊かさを見つける「発見力」です。

法則2 ものづくり力
地域の農家さんや漁業を営むひととつながり、地域の農産物や食材をつかった、その地域でしか食べられないの料理を提供することです。農産物の加工や販売、レストラン経営までを地域でおこない、地域の素材を使った「ものづくり」がビジネスにつながります。それが「ものづくり力」です。

法則3 ブランドデザイン力  👈伊賀の里モクモク手作りファームの紹介。
本書で紹介している『伊賀の里モクモク手作りファーム』の原点は、食べる人が安心して食べられる伊賀豚をブランド化した養豚農家さんの「デザイン力」があります。餌や飼育方法を変えながら試行錯誤し改良した豚肉を、地元のスーパーだけでなく、ハムやソーセージなどに加工して、子どもから大人までその味を楽しんでもらう『体験型の工房』=『伊賀の里モクモク手作りファーム』が誕生します。地域に合う商品の開発や、地域に受け入れられるサービスの個性を引き出す力が「ブランドデザイン力」です。

法則4 食文化力
「食文化力」という言葉はあまり聞き馴染みがないかもしれません。農業体験、食育、食のブランドをつくる力です。“農産物を育み、収穫する。”“その自分が育てた体験から食材を理解する。”例えば、地域の食材の良さを知り尽くした一流のシェフが調理し料理を提供するなど…「地域の『食』を『文化』にしながら地域づくりを行う力」です。

法則5 環境力
地域の環境(土、水、空気など)は地域の財産です。未来に地域資源を残すためにも、環境負荷をかけないように、農産物を生産することが大切です。例えば、無農薬のお米を栽培するために、専門家を招いて田んぼづくりを学びあう活動があります。本書で紹介している兵庫県豊岡市では、田舎に暮らす人々が学びあうための「市民環境大学」を立ち上げ、環境学習を実践する行政や学校を巻き込み、環境に配慮した農作物づくりプロジェクトを実施しています。これが「環境力」です。

この5つの法則を実践すると、田舎の魅力、地域の豊かさが多くの人に伝わり、地域の活性化やビジネスにつながると筆者は考えます。

三重県の人口は約170万人。山と海があり、里山、川、田んぼ、畑がたくさんあります。自然に恵まれ、豊かな食材にあふれています。
この本には、三重県伊賀市の「伊賀の里モクモク手作りファーム」が登場します。
伊賀の自然をふんだんに活かした事業が展開され、手作りウィンナーやアイスクリームの教室なども開かれています。
ポニーにのったり、子牛にミルクを飲ませたり、キャンプもできます!
5つの法則を大切にした『田舎力』を存分に発揮した事業が展開されています。

夏休みの思い出づくりや秋の風景を感じに、訪れてみてはいかがでしょうか。
きっと、田舎のステキに出会えます。

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