熱中手帖。−これまで×これから−

熱中手帖。−これまで×これから− vol.11

一人ひとりのクセを、個性・才能として伸ばす

特定非営利活動法人 希望の園
理事長/まつさかチャレンジドプレイス
希望の園 園長 村林 真哉

障がい者の芸術・文化・社会活動を支援したい

NPO法人の設立と目的についてお聞かせください。

 もともと、1981年から松阪市障がい者福祉センター内で小規模作業所をしており、1999年から障がいのある方々の芸術・音楽・文化・社会活動を支援する「まつさかチャレンジドプレイス希望の園」と名称を変え運営を始めました。そして、組織を確立し、支援の枠組みを大きくするために、2005年、NPO法人格の取得にいたりました。
 芸術や音楽をやりたいという方を幅広く支援するとともに、障がいのある方々の独創的な才能を発掘して育み、より世の中に注目してもらうことで、社会を豊かにしていこうという活動をしています。

地元から海外まで、芸術を通じた幅広い交流と活動

どのような活動に取り組まれているのですか。

 普段の活動としては、施設内で絵画や造型作品の制作を支援したり、一緒に音楽をつくったりしています。音楽は、希望の園メンバーが自由にキーボードを弾いたり歌ったりした音を譜面にし、つないでいくという方法で作曲しています。そうすることで、各々の個性や心の動きというものを音楽で表現できるんですよ。
 このように自分たちで作詞作曲した音楽でコンサートやCD販売などを行っています。「★バイタリ!松阪人ショー(松阪ライオンズクラブ主催)」というコンサートの実行委員長をしていますが、会場で寄付を募り東北の障がい者や松阪市の小規模施設へ寄付をするという活動もおこなっています。
 また絵や造型については、基本的に創作は自己実現です。またアーティストの「優しさ」や「激しさ」といった性格や感情、本人そのままを作品を通して伝えることが障がい者アートの魅力であり特徴だと思いますし、本人の持つクセみたいなものを個性にまで引き上げられたらと思っています。才能を開花させるにはその人なりの修練があり時間もかかります。発表する場所や機会が少ないなど、課題も多いのですが、さまざまな展覧会に出展したりすることで、今では多くの人に活動を知ってもらえるようになりました。また自分たちで企画をし、年1回、東京の増上寺で展覧会を10日間にわたって開いたり、2011年にドイツのフランクフルト、2012年は三重県の姉妹都市であるスペインのバレンシアでも展覧会を開きました。地元では、みえ県展などに出展し入賞・入選を果たしています。各々のアーティストが松阪・伊勢・鈴鹿・名古屋などで個展を開いています。これらの展覧会では絵の販売を行い、その収益は次の創作活動の収入源としてもらうため、ほとんどをアーティストへ還元しています。
 また、10年以上前から県内在住の外国人との交流をきっかけに、異文化を知ることの大切さや私たちの活動や希望の園アーティストの魅力を海外にも広げていきたいと思い、1999年にカナダのバンクーバーで現地の障がいのある方々との交流を始めました。2002年にはオーストラリアのゴールドコーストでの交流会やフリーマーケットに出店し、2006年には中国の無錫(むしゃく)市濱湖(はまこ)区で共同展覧会や音楽会、小学校・老人ホームに交流訪問等を行い、その後松阪市と友好都市提携が結ばれました。現在も、ベトナム・チリ・ポーランド等と、インターネットを使い、音楽を通じた交流もしており、現地の人との交流や制作は今後も続けていきたいと思っています。
 国内の地域交流としては、地元の小・中学校を年70回以上訪問し、絵や組みひも、俳句等を一緒におこなう交流会をしています。また、子どもたちが車いすを押させてもらい、まち中へ一緒に出かけるタウンウォッチングもしています。実際に車いすを押させてもらうことで、まちの不便なところに気づいたり、身近にあるユニバーサルデザインを意識してもらうようにしています。逆に、子どもたちが自ら企画した行事に招いてもらったり、地域のごみ拾いなどの環境整備も行っています。

マイナスイメージをプラスに変える

今後めざすものについてはいかがですか。

 障がいのある方が、社会の中で、1人で生きていくことは実際大変なことですし、多くの方にとって「障がい」という言葉には、労働ができないなどのマイナスイメージがあるでしょう。そこで現状に屈するのではなく、障がいのある方が持っている独自性を、一つの個性としてプラスに変えていくことの方が大事だと思っています。
 私たちは本人の感情を引き出すことで、その人のやりたいことや好み、才能の方向性を見い出します。時には、本人のやりたいことと才能の方向性が食い違うこともあり、本人は葛藤や挫折を繰り返しますが、それによって本来の個性を見つけることができるようになるんです。
 芸術活動は、障がいがあってもなくても関係ありません。自分がやるべきことだと思えることで、多くの人々を刺激し、社会を豊かにできるものです。スタッフができる限りのことを手伝い、アーティスト一人ひとりが個性を表現できるようこれからも活動していきたいです。それぞれが持つ才能や個性を伸ばして発揮させることで、他者に貢献できる社会・世界をめざしたいですね。

【データ】

特定非営利活動法人 希望の園
住所 〒515-2343 三重県松阪市小阿坂町2253-2
Tel&Fax 0598-67-0486
E-mail hello@kibounosono.info
ホームページ http://www.kibounosono.info/
代表者 理事長 村林 真哉
団体設立年月日 1981年4月1日
NPO法人化年月日 2005年2月17日
会員数 50名
会費 入会金 1,000円
年会費 2,000円 (正会員、団体会員、賛助会員、賛助団体会員)
チャレンジド正会員(*) 1,000円
*チャレンジド正会員:障がいのある会員のこと。

 

【お詫びと訂正】

本誌4月号の「熱中手帖。vol.10」の「団体紹介DATA」で、「NPO法人三重県成年後見サポートセンター」とご紹介しましたが、正しくは「NPO法人三重成年後見サポートセンター」です。
関係者ならびに読者の皆さまにご迷惑をおかけいたしましたことをお詫びすると共に訂正させていただきます。