熱中手帖。−これまで×これから−

熱中手帖。−これまで×これから− vol.4

演劇は人生を豊かにし、
生きていく力になる

特定非営利活動法人
パフォーミングアーツネットワークみえ
代表理事 油田 晃

劇場に社会性を持たせ、人と人をつなげたい

NPO法人設立のきっかけを教えてください。

 大学時代から演劇に関わっており、2006年に「津あけぼの座」(以下:あけぼの座)という劇場をオープンしました。運営自体は今年で6年目ですが、NPO法人としては2011年に認証をいただいたところです。
 あけぼの座は、オープンしてから最初の3年くらいは劇場としてあまり機能していませんでした。劇場をどう使って良いのか分からない部分もあったので、あまり開かれた場所とは言えませんでしたね。
 2009年に、私が大阪大学で場作りの手法を学びに行く機会があったのですが、そこで関西の劇団の方々との縁が生まれ、あけぼの座にお呼びして公演を開いたりもしました。その頃から、三重県文化会館(以下:県文)さんが呼ぶ演劇のワークショップをあけぼの座が受け入れることになり、連携の形が出来上がっていきました。
 あけぼの座はおよそ50席の劇場ですが、もう少し大きめの劇場空間が必要となってきたので、二つ目の劇場として、四天王会館で「津あけぼの座スクエア」をオープンさせようということになりました。
 二つの劇場を管理していくわけですから、5年10年と続けなきゃいけない。それなら、きちんとした法人格を持って運営するほうが良いと思いましたし、劇場を「人と人とをつなげる場」にしたいと考えていましたので、NPO法人として劇場を運営することで、社会性を持たせることができるのでは、と考えたのが設立のきっかけですね。

昨日よりもっと楽しく生きてみようと感じてもらう

ZENCAFEをはじめ、活動内容について教えてください。

 劇場は不特定多数の人が催事を見に来る場ですから、「劇場として社会性を持たせなあかん」という使命がありました。そのためにはどうすれば良いのかを考えていた時に、東京のお寺の本堂で開催されていた“トークカフェ”を知り、それをヒントに「ZENCAFE」を始めたんです。劇場にいろんな価値観を持った人が集まって、テーマを元に「わいわいと意見を交わしましょう」というものなんですが、これが、劇場にさまざまな人が集まる場を提供し、社会性を持たせることにつながり、また、演劇を知ってもらうためのPRにもなりました。
 演劇って観る人の好みにもよりますが、一度つまらない作品だと思ってしまうと、一生遠ざかってしまうくらいの力を持っているんです。でもその逆もあって、何百億円もかけたハリウッド映画よりも、目の前の舞台に心を動かされる人もいます。これが、生ならではの面白さなんですよね。だから、三重に劇団を呼ぶ時は、「三重の人たちが見て面白いかどうか」を自分の目で判断するために、全国各地の劇場まで公演を見に行ったり、実際に劇団の皆さんとお会いして交渉しています。
 舞台芸術というのは人生を豊かにし、昨日よりも楽しく生きてみようと感じさせるきっかけになるものだと思います。演劇を見てくれる人には、そういう部分をアピールしていきたいですね。
 こうした演劇の生の魅力をもっと市民の皆さんに身近に感じてもらおうと、昨年、「M-PAD2011」というイベントを県文さんと共同開催しました。津市内の飲食店や寺院を舞台に、おいしい料理と、俳優たちが古典や名作を読む“リーディング”を一緒に楽しんでもらおうという公演です。
 これが非常に好評でしたので、今年は2週間にわたって「M-PAD2012」として6劇団10公演と、公演数を倍以上に増やしました。舞台芸術と飲食店がタイアップすることで、演劇に親しみのない方でも気軽に見ていただけます。ぜひ、生ならではの魅力をたっぷりと感じ取ってほしいですね。

たくさんの仲間と「舞台芸術文化のまち・津」を築く

今後の展望についてお聞かせください。

 現代社会ではコミュニケーション能力が大事だと言われていますが、実は演劇ってこの力を磨くのに最適なんですよ。
 人は「伝わらない」という体験を重ねないと「伝える」力が上がりません。想いが相手に伝わらない体験をすることで、より伝えたいという気持ちが生まれて、表現方法を工夫します。なので、県内各地の学校に呼ばれてワークショップをする時には、対話劇などを通して伝える力を高める「表現教育」を実践しています。
 将来的には、役者を「コミュニケーションティーチャー」として教育現場で活躍させたいと考えています。役者って「今何が求められていて、その先に必要なものは何か」というのを感じ取る力が高いんですよ。だから、教育の現場で演劇を通して、子どもたちの能力を彼らが高めることで、役者の力を地域に還元することができるんですよね。
 また、子どもたちに表現することの楽しさを伝えることは、次の演劇の担い手づくりにもつながります。県外から劇団を呼ぶだけでは、三重から発信できませんから。
 三重に演劇の創り手が増えれば、次の展望にもつながります。今後は、仲間や創り手を増やしながら「舞台芸術文化のまち・津」と言えるくらいにしていきたいですね。

昨年開催のM-PAD2011

【データ】

特定非営利活動法人パフォーミングアーツネットワークみえ
住所 〒514-0008 三重県津市上浜町3丁目51番地
Tel 059-222-1101
Fax 059-222-1109
E-mail info@pan-mie.org
info@akebonoza.net
ホームページ http://pan-mie.org
http://akebonoza.net/
代表者 代表理事 油田 晃
団体設立年月日 平成23年8月1日
NPO法人化年月日 平成23年11月15日
会員数(現時点) 15人
年会費 正会員 個人10,000円 団体30,000円
賛助会員 個人5,000円 団体10,000円