理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.35

「子どもたちの自己肯定感を育てる」

NPO法人
三重みなみ子どもネットワーク
理事長 秋山 則子

社会的な動きにし、子どものことで南勢地域を「ネットワーク」する

NPO法人三重みなみ子どもネットワークの設立の経緯についてお知らせください

 1974年に前身の伊勢子ども劇場が設立されました。1998年にNPO法成立の際、子どもたちは地域で生きているのだから、会員の子どもたちだけということではなく、外に向けて広げていく活動、社会的な動きにしていこうと、NPO法人となりました。
 その頃に「伊勢志摩NPOネットワークの会」というのがあり、中村元さんを中心に鳥羽青年会議所や地域の市民活動をされているいろいろな方たちと、伊勢志摩でNPOを盛んにしていくには何が必要かということを、KJ法を用いたワークショップで何回も話し合っていました。ふだんはそれぞれの活動をしていますが、必要な時に集まり、相手の主体を侵さず、お互いを認め合って話し合うということが、当たり前にできていました。「ネットワークを組む」ということは、相手を尊重しながら手を組んでいくということで、相手を取り込むことではありません。
 そのような良いつながりを経験し、またいろいろな人が関わると大きなことができていくという実感もあったので、南勢地域を子どものことで「ネットワーク」しようと思い、名称も「NPO法人三重みなみ子どもネットワーク」と変更しました。

子どもたちに自分に自信が持てるようになる活動を提供したい

ミッションの「すべての子どもたちが『自己肯定感』を持てるように、事業を通してサポートする」とはどのようなことですか?事業を展開する時の問題点は?

 日本の文化には、自分を主張してはいけないとか、みんなと仲良くしなきゃいけないという価値観がありますね。それでは主体の確立は難しいです。出る杭は打たれると言われますが、出ることがいけない訳ではありません。自分は自分なりの意見を持って、相手の意見も認めるということが自己確立に欠かせないことです。自己確立の土台は自己肯定感です。「自分を好きであること」が、とても大事だと思っていたので、「すべての子どもが誇りと自信を持つ」「自ら考え責任を持って行動できるよう活動をサポートする」ということをミッションにしました。中心メンバー全員がこれしかないと思ったので、今もぶれていません。活動は全部そのためにやっています。子どもたちが活動の中で「自分を大事に思う」「自分はOKの人間なんだ」ということを、つかんでいくことをサポートしていきます。食のことをやってもそうだしダンスでもそう、自然体験の活動もみんなそのためにあります。
 親子の活動ってプログラムを用意して大人が手出し口出しをしてしまうことが多いと思います。それでは子どもの本当の力は育たないし、子どもの自己肯定感は育ちません。うちでは例えば自然体験をする時、子どもたち全員にスタッフが付き子どもたちの裁量で遊びます。3歳児でもゆっくりですが山登りをします。怖いけれどもみんなで助け合いながら木登りします。ツリーハウスの階段から落ちそうで上がれない時も、上で楽しそうにしている子どもたちの声とインストラクターの大杉谷自然学校の方たちの適切な声掛けで頑張って登ることができました。親が「私が一緒だったら止めたわ」と言います。でも子どもたちは落ちたら怪我をするかもしれないスリルを乗り越えた時、自分というものを信じることができていくのです。
 しかし一人一人にボランティアが付き、インストラクターにも来ていただくとなると参加費がどうしても高くなります。すると広報しても参加者が少なく事業を継続できません。やりたい活動だけれど、お金の面でもスタッフの面でも力が足りなくてできないことがすごく残念です。こういうことは市とか町が、親にも理解を得て、継続されるようにしていきたいのですが難しいですね。でも私たちは提案していくことが大事だと思っています。

里山での自然体験活動 HOOP ヒップホップダンスの発表会

関わったところが次からは自立できるように

どのような体制で運営されていますか?

 常任理事6人ですが、1人はお休みしているので5人体制です。それぞれ個性があり、癖もあるけれど、内部もネットワークと考え、お互いを尊重し合い、どう協力し合うかでやっています。みんな一緒のところに並んでいて役割が違うだけです。
 理事長は、事務所とか活動の現場にいないことが多いですね。外回りをして広報兼営業で「何かのときによろしく。子どものこと忘れないでね」ってやるのが私の仕事。三重県委託「子どもの権利等学習推進事業」を玉城町と志摩市で行ったのですが、それぞれの所の社会福祉協議会、教育委員会、子ども課など行政の関係部署には全部声を掛けました。また、しま子育て応援団など市民活動団体にも集まっていただき「どのようにやっていく?」という相談から始めました。いろいろな方に来ていただこうと思うと地域の協力、ネットワークが必要です。自分たちの考えとは違う方にも来ていただけます。そこで話を聞いた人がまた他の人に広めることもあります。そのように自分たちだけではできないことができていくのです。振り返りも、行政も含めてみんなでやっていきます。その後それぞれが自立してやっていくことができるように、いろいろなものを提供していくのです。

理念を継いでくれる人が育つこと、そして活動を通して成長していくことの実感を創る

これからの抱負は?

 理念を継いでくれる人が育っていくことです。形は変わるかも知れませんが、子どもの権利とか自己肯定感とかを大事にする活動を続けてくれる人たちが、つながっていくといいと思っています。いずれは、言わなくても皆が「そんなの当たり前よ」っていうようになることが一番ですが、それは永遠にできるかどうか分からないので。
 あとは、地域でファミリーサポートとかチャイルドラインなどでサポートをする方たちが、活動を通して自分も成長し、地域で子育てをしている人に寄り添いながら自己実現していく。そういう人が増えることです。人は死ぬまで発達が続くのですから。

 

【データ】

〒516-0037 三重県伊勢市岩渕2-3-13
Tel 0596-28-5692
Fax 0596-28-5679
E-mail kodomo21@amigo2.ne.jp
ホームページ http://www.amigo2.ne.jp/~kodomo21
代表者 理事長 秋山 則子
団体設立年月日  1998年10月28日
NPO法人化年月日 1998年11月12日
会員数 141名
会費 入会金1,050円
年会費(正会員・参加会員:5,250円、活動会員・利用会員:2,100円)
賛助会費:一口10,000円