理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.31

多文化共生がつくる新しいつながり

特定非営利活動法人 愛伝舎
理事長 坂本 久海子(写真右端)

外国人の問題だけではない!

特定非営利活動法人 愛伝舎の設立の経緯についてお聞かせください

 私は1993年から1998年の間、ブラジルで暮らしていました。帰国する時、日本に出稼ぎに来る外国人は、「単身の出稼ぎ」から「家族を連れての出稼ぎ」という働き方に変わってきて、子ども達の勉強も大変だろうと思いました。
 その後、私は2002年に鈴鹿市立小学校の講師になりました。その時に「外国の子どもたちにとっての学習の環境が保障されていない」ということがよく分かったのと、それ以外に、子どもたちの家庭環境も日本社会に外国人を受け入れる仕組みがちゃんと無い、そこに気がつきました。
 外国人の定住がもっと増えることで、大きな社会問題になっていくのではないか、言葉や習慣・制度の違いのギャップというものが、その人たちにとっても私たち日本人側にとっても色々戸惑うこととして起こるのではないかと感じていました。
 それは、外国人の問題ですが、日本の社会にとっても将来のリスクになるということがだんだん分かってきて、そういった問題に取り組んでいきたいと思いました。そこで、同じ思いをもった仲間を集めて「NPO 法人愛伝舎」を設立することにしました。

質問や相談など、事務所には多くの在住外国人が訪れる。

ボランティアではなくビジネスベースで

コミュニティビジネスという運営スタイルへの決め手は?

 コミュニティビジネスというのが社会の課題を解決するっていうことだというのを知って、地域の課題を解決するようなことをやることで、将来のリスクを減らしていくというようなことを学んで、ボランティアではなくビジネスベースでやりたいと思いました。
 それと、少子高齢化が進む日本では、外国人に依存する労働力としては、もっと増えてくるわけだから、そこに対して何らかの解決をしていくためのビジネスというのは需要があるのではないかと思いました。周りがあまりにも手を打ってないから、そこら中に問題だらけなのが見えているわけだから、それをやらないとこのままでは社会がグチャグチャになるのでは!?というのはありますね。

NPOならではのネットワーク

NPOの役割とは?

 私たちがずっと考えていたのは、共生の社会づくりというものを進めていくうえで、政治家だったり、公務員だったり、あとは当事者である外国人であったりと、それぞれの役割によって、やることが違う。「共生」というものを進めるためには、ひとつのグループ、仲間だという考え方のもとに、それぞれの立場や役割に応じて活動するということがいいのかなと思います。
 NPOは現場に一番近い存在だし、あと行政の人たちと仕事していて、すごく、熱心に仕事してくれる人たちがやっぱり2年とか3年とか、で、ぱっと替わっていくわけで、だからやっぱり経験とかネットワークは蓄積されないわけですよね。なので、NPOはずっとそこの仕事の専門性を培いネットワークを培ってやっていける、そういうことかなと思いますね。

介護人材育成の様子

被災地復興のための大人の役割

「希望のえんぴつプロジェクト」についてお聞かせください

 縁があって、宮城県女川町の子どもたちに文房具を送り届けることから始まりましたが、活動を通して、いろいろな人のつながりが出来ました。「希望のえんぴつプロジェクト」は離れた場にいる人たちが連携して進めていて、絆を深めている、大人が仲良くやっている姿を子どもたちに伝えたいと思いました。政治の場でけんかしている姿ばかり見せられると、子どもたちは希望を持てないですよね。大人が仲よく、皆で協力してやっていこうとするのが大事かなと思います。
 私は愛伝舎の役割としては人と人を繋ぐことだと考えています。町の中にステーションのように人と人が行きかう場として、存在したいと思います。その場があることで多文化共生になっていく、そんな願いでやっています。

被災地の小学校へ送られる文房具

新しい形の多文化共生に

将来展望はどのようにお考えですか?

 これまでやってきて多文化共生は、問題解決の後追いのような感じがします。多文化共生というのは、海外の人材が日本の社会にとっても活力になるような存在になり、多様性が豊かさになってこそ皆が共感し、支持されるようになるかなと思っています。
 そこで私たちは、日本と南米の国の経済発展に繋がるようなことをやりたいです。例えば、日本酒や伊勢茶をブラジルに売り込めないかなとか思っています。この20年間に日系人が日本から電化製品や食べ物、洋服、今の日本をたくさん母国に伝えました。今の日本の生活を体験している日系人を通じて日本とブラジルの関係がさらに深くなるということをやっていきたいと考えています。

 

【データ】

〒513-0806 三重県鈴鹿市算所3-9-50
Tel 050-3532-9911
Fax 059-379-5610
E-mail aiden10@eco.ocn.ne.jp
ホームページ http://aidensha.jimdo.com/
代表者 理事長 坂本 久海子
団体設立年月日  2005年1月29日
NPO法人化年月日 2005年8月26日