理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.29

「自分たちの地域の課題は自分たちの力で解決していく」

特定非営利活動法人 生活バス四日市
理事長 西脇 良孝

車を運転できない人々の移動手段をなんとか確保したい!

特定非営利活動法人 生活バス四日市の設立の経緯とミッションについてお聞かせください。

 生活バス四日市が始まったのは、平成15年の5月。私たちの地域では、近鉄四日市駅までバスが走っていたのが、乗客が減って路線が廃止になりました。廃止になったことで、最寄りの駅や他のバス停に行くのにも、すごく時間がかかるようになってしまいました。高齢者であれば約1時間かかるので、買い物や病院行くにも非常に不便なんですね。そこで、「地域として何とかして欲しい」という声が地域からあがったのが発端です。
 そのときに、車を運転できない人や高齢者の移動手段をなんとか確保したい。地域活動として、何とかしないといけないと。それで、行政に「なにかいい移動手段がないか?」と頼みましたが、なかなかいい手段がないと。それならば、自分たちで何とかしようということで活動が始まったわけです。

一生懸命な姿に行政も動く

行政の反応はどう変わりましたか?

 活動の問題点は安全でリスクの少ないことをやらなくてはいけないということ。バスを走らせるのは、大きなバス会社に頼むのですが、我々のバス路線ですから陸運局の免許も取らなくてはいけない。また、お金も集めていましたが、バスの運賃は月80万いるし、なかなか集まらない。そういったいろいろな障害が出てきました。
 それでも我々が一生懸命やっている姿をみて、行政の方は「住民がそれだけ一生懸命やっているのであれば、行政が知らん顔しているわけにはいけない!」ということで協力してくれるようになりました。
 我々が動いたことが行政を動かしたと考えています。何にもせずに行政に「お願いします」と言っているだけではだめだということがわかりました。何事もそうだと思いますが、こういうことを住民が欲しいからということで一生懸命動けば、それに対して行政は反応してくれるわけなんですね。

利用者の方々の意見を受け止めた細かな気配り

利用者の満足度を高める工夫はどういったものがありますか?

 バスに乗るとき、ノンステップに近いように一つの段を置くとかね。他には、傘を車内に置いて、誰が使っても良いようにするとか、そういった利用者目線は大切にしています。
 傘はお客さんから「傘があったらいいな」という要望があったので、「じゃあ、置こうか」ということになりました。傘はお客さんが集めてきてくれたんですよ。
 要は、小集団活動の中でいろんな意見を聞いたわけです。その場所に行って数人ずつ会合というか井戸端会議やってもらったりして、情報収集をしました。アンケートも取りましたよ。
 地域で困ったことはある程度、地域でいろいろやれば少なからず解決策は見えてくるわけです。どうしたらいいかというのは、出てくるけれども、それをみんな、行政やらどこかに「お願いします」と言うだけで終わっている団体が非常に多い。だから、もう一歩踏み出せば、もっと支援の芽も出てくると思いますね。

乗降しやすいよう置かれたステップ

キーパーソンは地域のコーディネーター

理想のまちづくりとは?

 大切なのは、「自分たちでできるところは自分たちでやりましょう」という思いで、地域で皆が個々に動く。それをまとめれば、一つのまちづくりになるのではないかと考えています。
 要は、コーディネートできる人がまちにいれば、その人がコーディネータとなって、うまく調整していく。その中で話し合いをしながら、足らないところは話し合っていく。そういう調整をする人たちが、まちの中に出てくればいいのではないかと思っています。その中でまだ不足しているところがあれば、それをどうしていくかというのをその都度やっていけば、まちづくりはどんどん広がっていくのではないでしょうか。それが理想ですね。

生活バス検討会のようす

「地域の公共」という意味での繋がりをつくるために

「まちづくりと協働」という視点で大切にされていることはなんですか?

 住民なり企業なり、特に行政、それからバスならバス事業者さん。お互いがお互いの持ち場で、理解しながらやるということ。
 例えば、普段は利用が少ない地域のヴィラ四日市介護施設や守屋レディースクリニックさんにしたって、皆が「地域の公共」という意味で、地域住民への貢献、社会貢献という意味での繋がりが重要やと思います。コミュニケーションと言いましょうかね。
 そこら辺をうまくおのおのが理解してれば、目先の利益だけを追うのでなしに、地域でのコミュニケーションができるように持っていくのが一番だと思いますね。何事も自分たちだけで満足するだけではまずいのでね。まあ、そんなところかと思います。

連日、多くの人が利用し、地域になくてはならない存在に

 

【データ】

〒510-0012 三重県四日市市大字羽津戊595番地
Tel&Fax 059-361-6686
E-mail sbus_yokkaichi@ybb.ne.jp
ホームページ http://www.rosenzu.com/sbus/
代表者 西脇 良孝
団体設立年月日  2003年3月20日
NPO法人化年月日 2003年4月1日
会費 なし