理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.26

河崎の町並みを守り、引き継ぐ

特定非営利活動法人  伊勢河崎まちづくり衆
理事長 高橋 徹

「河崎の町並みを活かし自立したまちづくり」がスタートライン

特定非営利活動法人伊勢河崎まちづくり衆の創設と経緯について教えていただけますか。

 もともと河崎のまちづくりは勢田川沿いの町並みの景観が壊され、立ち退きの話がでてきたことについて、それはおかしいのではないかという異義の申し立てから始まったという過程があります。そこで、そのときに、町並みの価値、河崎の価値に気付いていくというのがスタートラインです。それで、いろいろ話をして、立ち退かなくても改修できるのではないかという住民案を作って、行政と話してきました。
 また、経済的な理由等で川沿いの蔵がなくなっていくという実態もありましたので、活動をわかりやすくするため、新たな仲間を増やすために「伊勢河崎・蔵バンクの会」を発足し、問屋街河崎のシンボルである蔵に焦点を絞り、空き蔵の活用を図り、河崎の町並みを保全する活動・仕組みを行ってきました。
 そういう流れの中で、最終的に市長が決断されて、現在の伊勢河崎商人館になる商家の土地を買収、建物を整備し、管理運営を私たちが担うというかたちになりました。そこから、本当の意味で、行政との協働作業が始まって、その過程の中で、自立するということを基本にしてきました。会の理念と責任を明確にするためにNPO法人化し、商人館の運営とまちづくりを進めることになりました。自立するには収益を上げなければいけない。河崎は商いのまちだったということで町並み保全と共に「自立すること」と、「商い」をキーワードにしました。

伊勢河崎商人館

町並み保全は暮らしの形に誇りを持つこと

団体のミッションは何ですか?

 町並みの景観を守る・保全するということが、このまちの宝物である歴史景観をはじめ歴史文化を活かしたまちづくりを育み、住民が町に誇りと愛着を持った地域を創造することができる。それを「町並み保全型のまちづくり」と言っています。景観というのはそのまちの暮らしの形です。だから景観を守るというのは、そのまちの暮らしの形を守っていくということで、人々がそこに住み続けることを示しています。また、そのことがよそから来た人に「きれいなまちにしているな、古いけど非常にこざっぱりしている」というようなことを思ってもらえるなど、すべてにおいて住民の暮らし方が見える形で現れていることが大事で、そういう意味合いとしての「景観であり町並み保全」と言っています。

町並みをいかした河崎商人市

継続することでジャンプすることができる

どういったスタンスで活動しておられますか?

 活動を継続していくところに神様は微笑むという部分があるように僕は思うんです。まちづくりの成果というのは、恐らくすぐには見えない。やっているところにいろんな状況により天・地・人が合ってジャンプすることやと思うんですよ。そのタイミングって大事ですけど、やっていく中で学習をしていけば、ヒントは捕まえられるというか、あるいは、そういうことで人が助けてくれる。そういったスタンスで、活動していくということが持続するためには大切です。いつ花開くか、開かないかも分からない。だけれども、そういうことの中にしか開かないのではないでしょうか。

ある意味、僕らは迷惑仕掛け人なんです

まちの人々との関わりの中で大切にしておられることは何でしょう?

 さまざまな方と関わるまちづくり活動は特にコミュニケーションがすごく大事であって、コミュニケーションの不足とか取り方の間違いの中で問題も出てくる訳ですから、いかにコミュニケーションをうまくとるかが大事だし、それがうまくいけば皆さんが一緒になっていけることになると思います。
 当然、僕らも気を使わないといけないですしね。こちらはある意味では迷惑仕掛け人なんです。静かなところで「何かしましょうか」というのは迷惑にならないようにしていかなければならない。まちですから、みんなが皆同じ方向を向いているのも怖いことですし、いろんな方がいてね、まちを良くしたいという気持ちは皆一緒。ただ、取り方が違ったり感情論になったりするときに違う対立があるだけやからね。それは、徐々に変えていこうと頑張るしかないということやと思います。皆が「はいはい、いいですよ、いいですよ」ということはない。だから面白い。それがまちだと思うんです。それぞれ思いは違うし、温度差もあるわけです。僕らがいいと思っていても、当然違うと思っている人も中にはいらっしゃるわけです。価値観の相違を認め合う中で合意形成をはかっていく姿勢はまちづくりには大切な心構えだと思います。

先人の知恵を生かし次世代へ繋げてゆく

将来展望をお聞かせください。

 「河崎らしさ」というベースはきちっとしていかないといけない。枝葉ばっかりをやっていてもいけないので、そのベースは河崎の歴史的町並み景観、問屋街の景観。地域ブランドというのは地域の景観におうところが大きいです。その「らしさ」を表しているのは積み重なってきた先人の知恵と技。先人たちがこの風土の中で培ってきた形があるわけです。それは理にかなっているわけですよね。それを活かしていく、残していくというのが、僕らがまた次の世代へ伝える為の一つの基本的な考え方であると考えています。
 例えば、皇學館大学の学生たちが伊勢春慶の歴史の掘り起こしを行い、漆器の再生の大きな力になりました。ですからキーワードは「先人の知恵」とか「技」ね、技を活かして残して伝えて引き継ぐという、それが河崎の歴史文化を守り育て、創るということ。それを展開して、皆が自信と誇りと愛着持ってまちづくりを担っていって欲しいと思います。 

皇學館大学の学生などによる河崎古文書調査

 

【データ】

〒516-0009 伊勢市河崎二丁目25番32号
Tel&Fax 0596-22-4810
E-mail machisyu@e-net.or.jp
ホームページ http://www.e-net.or.jp/user/machisyu
代表者 理事長  高橋 徹
団体設立年月日  1999年11月18日
NPO法人化年月日  1999年11月18日
会員数 100名
会 費 2,000円