理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.25

参加し、楽しみ、学ぶ場をつくる

 ハローボランティア・ネットワークみえ
代表 山本 康史

社会参加の敷居を下げる、参加の第一歩の場として

ハローボランティア・ネットワークみえ(以下、「ハボネット」と略)の創設の経緯とミッションについて教えていただけますか。

 平成10年(1998年)に三重県が「歴史街道フェスタ」というイベントの事業をやることになって、そこで当時の北川知事さんが、今まで業者に任せてきたイベントを何とか転換し、ボランティアの協力を得てイベントをやったらどうだ、という事になりました。
 当時はイベントでボランティアをするといっても今ほど一般的ではなかったので、担当する県職員が模索する中で「ボランティアの事務局をするボランティア」を募集してみようかとなりました。私は偶然そこに参加をして、イベントに参加するボランティアをコーディネートする事務局ボランティアとして、そのイベントに関わらせていただきました。
 たった一か月間のイベントだったんですけど、500人を超える人が申し込みをしてくれました。せっかく集まった500人の人たちを一回のイベントだけで、はい終わりですよと解散するのももったいないので、「今後もこういうイベントがあったらボランティアしたいですか」というアンケートをとり、200人以上の方がやりたいと手を挙げて始まったのが、この「ハボネット」です。
 古くから地域でやるイベントであればともかく、特に県がやるイベントは地域に根ざしているわけでもなく、参加者の目線でイベントの事務局に参加できる人ってなかなかいませんでした。我々がイベントのボランティアを事務局の方と打合せながらやることで、参加者の目線に近いところでそのイベントを良くしていける、と感じています。
 イベントには地域のたくさんの人が関わりますから、イベントを介した人の関わりが地域のまちづくりに繋がっていく。地域に参加するとかボランティアに参加するとか、NPO活動もそうですが、敷居が高いというイメージがありますが、「この日だけ、半日だけやりませんか」というイベントのボランティアであれば、非常に敷居が低く、また楽しくできる。
 そこで、出会った人たちと次のステップへドンドン育っていって欲しいわけです。だから、イベントボランティアは市民社会に参加していってもらう為の最初の第一歩、入り口としての機能を提供できる。人を育てる場になっていると考えています。

平常時にできる災害対応時のボランティアコーディネートの訓練

もう一つ別の隠れた目的、ミッションがあるとか?

 実は私は防災のNPOもやってるんです。イベント会場にはたくさんの人が集まり、そしてイベントをやっているとたくさんのトラブルが起こる。ボランティアさんの協力を得ながらトラブルに対処していく、その一連の流れというのが、災害のときに被災者がいらっしゃって、たくさんのボランティアがやってきて、そのボランティアをうまく被災者と繋ぐということとすごく似通っている。
 災害時の訓練というのは、想像しながらやってもイメージがしにくいんですけども、目の前にイベント会場という現場があることで、実践的な経験を得ることができる。臨機応変の対応とか、一期一会(いちごいちえ)で出会ったボランティアさんとどうチームワークをつくってミッションをこなすかとか、これって災害時のすごく大事な能力というか技能なんです。
 それを平常時から養っておけるという意味で、実はスタッフは災害対応の訓練をイベント会場でやっている、そういう裏のミッションがあります。これは皆には内緒でやっているんですけどね。仲良くなったスタッフにだけ、実はね、と種明かしをしています。
 このことが防災の仕掛けとして全国から関心を持っていただき、多くの方が視察・体験に来られました。

HANABI *きれいボランティアでのゴミナビゲート(伊勢・宮川花火)

イベントは先駆的なチャレンジの場であり、社会を変えるきっかけとなる

イベントはどういう場であるとお考えですか?

 イベントというものの魅力を私たちは借りたんです。「このイベント、面白そうでしょ、だから一緒にやりませんか」と。自分たちの活動そのものの魅力よりも、イベントの魅力をいかに引き出すか、ということだと思うんですよ。いかに魅力的に参加できる場をつくっていくか。その結果、いろんな人が参加してくれました。
 イベントって面白いのは、社会の問題がすべてそこに凝縮されているんです。例えば、今、イベント会場のバリアフリーって当たり前になってきましたけど、10年前は全然そんなこと言われたことなかったんですよね。
 イベント会場は、突貫工事でつくって、また壊すものなんやから、「バリアフリーなんてそこまで配慮できません」って言ってたものが、今ではちょっと段差があるものにはスロープつくるとか、コードをはわせるところにはシートを掛けることが当たり前になってきた、これは10年間の変化だと思うんです。
 こういうバリアフリーの問題とか、高齢の方や子どもたち、外国人も集まってくる、それらの方への対応とか、環境問題、ゴミの分別など、イベント会場って、実は地域の課題がギュッと詰まっていて、その仮設の会場内で日頃の地域課題がすべて起こるわけですよ。それって逆に考えてみると、地域課題に対して先駆的なチャレンジがイベント会場でできるということ。
 例えば、今イベント会場でゴミの分別って当たり前になりましたけど、昔はゴミ箱一つで、みんな一緒に放りこんで、後から業者に分けさせてたのを、ゴミ箱4つ5つ置いてみんなに分別を呼びかけてみようと十何年前に始めて、今では当たり前になっていった。
 イベント会場でいいのは、失敗したら、次、やらなきゃいいだけ。でも、社会でシステムとしてつくってしまうと止められない。それで皆の反応を見てみる場所として、イベント会場を使っていろんなチャレンジをしたらいいと思う。
 そういうチャレンジの一つの成果の例を紹介すると、受付とかインフォメーションには「筆談します」という札を置きましょうよ、とサン・アリーナであったイベントで置かせていただいたんですね。そしたら、それ「面白い、面白い」ということで市役所の人が全部持って帰って、市役所のカウンターすべてに「筆談します」という札を置いてくれたんです。
 こういうふうに、社会をイベントをきっかけに変えていけると思っています。

 

【データ】

〒514-0009  三重県津市羽所町700 アスト津3階
 みえ市民活動ボランティアセンター気付
Tel&Fax なし
E-mail info@hello-v.net
ホームページ http://www.hello-v.net/
代表者 山本 康史
団体設立年月日  平成10年12月12日
NPO法人化年月日  2005年9月25日
会員数 480名
会 費 無料