理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.22

障害がある人個人の問題ではなく、障害のある人を受け入れない社会こそに問題がある

特定非営利活動法人 ピアサポートみえ
理事 佐々木 康弘  理事長 松田 愼二

障害当事者自らが中心となり、地域で生活するための支援を目的として始めた

「特定非営利活動法人ピアサポートみえ」創設の経緯とミッションについて教えていただけますか。

 障害当事者が地域で生活するための支援を、障害当事者自らが中心となってやりたいということで始まったのがきっかけです。
 最初は、僕ら特に重度の身体障害の当事者が、施設ではなくて地域で生活することを一番大きな目的としており、NPO法人を設立したのは、僕自身が施設に入らんと、地域でヘルパーさんの介助を受けながら自立していきたいという思いで立ち上げました。
 ミッションは、障害当事者が地域で生活するための環境を整えること。具体的には、ホームヘルプサービスとか、啓発活動とか、あるいは県のモデル事業の委託を受けて、障害者自立生活体験室やピアカウンセラー養成講座、それと平成22年からStudio Peer(スタジオ ピア)という現在のところ精神の方が中心の場なんですけど、地域で集まる拠点づくり、そんな活動もやらせてもらっています。

ピアカウンセラー養成講座(身体)

自分たちにとって必要なことを仲間と自由にやれる場を

Studio Peer 創設の経緯とめざしておられるところをお聞かせください。

 当然やけど僕も当事者の一人で、自由に過ごせる場というのがなかなか無いもんで、かつ管理されなくて、ほんまに自由に過ごせる場を作りたいと…。利用者さん自らでいろんなことを決めて、ゆくゆくは利用者さんも運営の中心になってもらえるような場にしたいなと思ってつくったんです。
 だいたい曜日によってメニューが決めてあって、バンドの練習とか、テニスとか、パソコン教室とか、たいがい自分の好きなことをメニューに入れているんです。運動と音楽というのが非常に大事かなと思って。今までも地元でテニスとか音楽とかやって来たんで、それを津の仲間と一緒にやれたらなと。普通に誰でもそうやけど、障害があろうが無かろうが、運動や音楽というのは健康に非常に大事なことやと思うんで…。
 毎日昼ごはんは、皆で一緒に食べてて、つくるのも一緒にやってくれる方に手伝ってもらっています。中には包丁なんか持つのも初めてとか言う方もいてはるんです。普段「あかん、あかん」とか言われて、「普通のことがなかなかやらせてもらえてない」というのがあると思うんで、何でも一緒にやってもらいたいと思っています。
 県のモデル事業とか、精神の人たちの活動の拠点とか、身体だけでなく、「地域で暮らす」というキーワードで活動が広がっていければいいなと思います。

バンド活動/ スタジオピア

当事者性を活かせるモデル事業に三重県自体が取り組んでいることが画期的

資源や資金確保、運営の仕組み・支援などは、どうしておられるのですか?

 資金の方は重度訪問介護というのがメインの仕事なんやけど、ヘルプサービスの事業の方で何とか黒字を保てているので、そこで出た収益というか、それを元にいろいろ活動させてもらっています。しかしながら県のモデル事業でも、恐らく赤字やろね。
 重度の僕もそうなんやけど、ドア・ツー・ドアというか、家から会場までの介助は必要なわけですわ。そうすると、そういった全般の介助の費用とかは、なかなかモデル事業の中には含まれてない部分もあるし、やりくりをしながらやらせてもらっているという・・・。
 でも、こういったモデル事業を三重県自体が取り組んでくださっているということが画期的なことなんで、そこら辺は僕らとしてはすごくありがたいし、僕らの当事者性を活かせるモデル事業を県がやってくれたということを、かなり評価できる事やとは思います。
 昔は、朝と昼と夕方の1時間ずつ、1日3時間しかヘルプがなかった。もちろん泊まり介助というのは友達とか知り合いなど、すべてボランティア。その中に行政の方もみえて、そういう関係の中でモデル事業と繋がっていったんやないかなぁと思います。
 僕が一人暮らしする中で、行政の方たちとの話し合いや活動の中で行政の人らも理解してもらってそういうモデル事業が必要であるということから実現していったとは思います。

障害のある人が普通に地域で暮らせる環境に向けて

今後の課題と将来展望はいかがですか?

 障害のある人が普通に地域で暮らせる環境って、なかなかやっぱり難しいし、障害当事者の意識も変わらなければいけないし、また地域に住んでいる一般の人たちの意識も変わっていかなあかんから、そこら辺を、あわててもなかなか伝わらないし、まあ、ボツボツやっていかんと、仕方ないということかな。
 障害があって、あることで生活上いろんな困難とか出てきますやんか。その困難とか生活上の問題というのは、その障害がある人の個人の問題とか、障害がある人を抱えている家族の問題だと思われがち。社会も そういう感じでとらえられとるし、障害がある自分が悪いのと違うかなあと、なんか引け目とか負い目とか、そういう感じでとらえがちやから、そこら辺の考え方を変えていかなあかん。
 だから障害者権利条約とかが国連で採択されて、日本はまだ、批准してないんやけど、あの考え方でいくと、「障害がある人が生きていく上で出てくるさまざまな困難とか問題というのは、障害がある人の個人の問題と違って、その障害のある人を受け入れない社会こそに問題がある」という考え方が、あそこで言われている。
 たぶん「合理的配慮」ということやと思うのやけど、そこら辺のとらえ方を、僕ら障害当事者本人も世間の人たち一般社会の人たちも互いに「そういう社会に問題がある」という視点に立つという、社会モデル的な障害のとらえかたをしていくことが、やっぱり一番大事なんやけど、そこら辺をどう具体的に、僕らが日常活動の中で当事者も含めて社会を変えていけるかが課題やと思います。僕らが生きていく間に実現できるかできないかぐらい。
 でもね、そういう考え方を僕らが発信し続けることが大事やなあと思います。

スタジオピア前で

 

【データ】

〒514-0027 津市大門7-15
津センターパレス3階 津市市民活動センター内
Tel&Fax 059-213-9577
E-mail peershinji@yahoo.co.jp
ホームページ http://www.zd.ztv.ne.jp/peersupport-mie/
代表者 理事長 松田愼二
団体設立年月日  2007年9月1日
NPO法人化年月日  2007年9月1日
会員数 20名
会 費 2,000円