理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.20

みんなの大切な「ふるさと」になるまちをめざして

特定非営利活動法人 ふるさと企画舎
理事長 田上 至
副理事長 森本 真理

地域の豊かな自然や人、文化を地域の宝として、にぎわいのあるまちにしていきたい

特定非営利活動法人ふるさと企画舎(以下、「ふるさと企画舎」と略)の創設の経緯とミッションについて教えていただけますか。

 若い頃、東京に6年ほどいまして、田舎に帰って来たときに、昔遊んだ自然が無くなってきているのにがくぜんとしたんです。それで自然を守る活動を始めたんですよ。
 平成5年に始めた「メダカの会」だけではなくて、仲間とのさまざまな活動を続けていくうちに、いろんな仲間が僕の周りにいるんだなということが分かりまして、そういう仲間と“将来のまちが、ようなってて欲しいな”というのを話し合っていました。そのような時に、今のキャンプ場の指定管理者の全国公募があったんです。
僕も日頃の活動の中で、金銭面とかいろんな矛盾を感じてましたので、キャンプ場を経営して、これからのまちづくりの活動に繋げていこうとNPO法人をつくり、現在に至っています。
 僕たちの名刺にも書いてますが、目的が3つありまして、特に地域資源ということで、(1)地域の豊かな自然を守る環境保全活動をすること、(2)自然や人、文化を活かした参加型体験事業の実施、(3)紀北町町営施設「キャンプinn 海山」の運営管理の3つです。
 このまちの将来を考えたときに一番の課題は少子高齢化ではないかと…。それもあって、にぎわいのあるまちにしたいなという思いが強く、ひと言で言うたらまちづくりというか、特に観光面 のまちづくりですね。地域資源を活かした参加型体験事業をいろいろ計画して実行しておるわけなんです。みんなの「ふるさと」になるようなまちになりたいなぁ、ということで「ふるさと企画舎」という団体名にしました。
 今、キャンプ場で経営が成り立っているわけですけど、キャンプ場を運営していくに当たっては銚子川がいつもきれいでないとあかんのです。その意味以外にも、地域の宝としてこのまちの人が認識して欲しいな、環境を
守っていきたいなということで、今回の“銚子川シンポジウム”*1も企画させてもらったわけなんです。

*1 銚子川シンポジウム:平成22年10月2日(土)に紀北町と(財)自治総合センターが主催し、ふるさと企画舎などの後援により「森・人・海 生命をつなぐ銚子川」をテーマにシンポジウムが開催された。

自慢できるのは“人”を大事にすることと、地域とお客さんを繋げる役割を担っていること

紀北町というか地域に及ぼした影響は、かなりあるのではないですか?

ボランティアを募集し、休耕田を開墾「種まき権兵衛さんと畑をつくろう!」

 僕たちが頑張って、この町のためになってるなあというのは、1つ自慢できることがあると思います。それは、いつも組織で言ってるんですけど、人を大事にするんですね。特にスタッフもそうなんですけど、人それぞれ個性もあって、得意、不得意もあるんですけど、やっている以上自分たちが楽しくやらないと、良さが来訪者の皆さんに伝わらんやろ、と。来訪者の皆さんとも、お客さんとしてあまり持ち上げんと、友達感覚で付き合いさせてもらえる、そういう人たちが増えてきているなというのは、ある意味、人を大事にしながら田舎の素朴さを理解してもらっとるのかなと。
 海山ファンというか銚子川ファンが、このキャンプ場があることによってできてきて、その人たちが2004年の水害のときにはボランティアでたくさん来ていただいたりとか、「キャンプinn 海山」というところを拠点に町全体が見てもらえるという効果もあると思います。
 キャンプ場というところは基本的に日帰りでなく素泊まりですよね。泊まってもらえることで地域のものを食べてもらえたり、この地域の中で遊んだり、伊勢に立ち寄ってくれたり、宿泊というのは波及効果 が大きいかなと。来てもらうお客さんもやっぱりそういう情報を知りたがっているし、交流する中で、私たちも町の情報をいろいろお客さんたちに伝えられるようにしているんですけど。この町や地域とお客さんを繋げる役割というのを果 たしていきたいなと思っています。

僕たちが頑張ったら、町に入るお金が増えるというのも魅力

指定管理に関しての課題はいかがですか?

 おかげ様で黒字でやっておりまして、指定管理を受けて4年目ですが、2年を終えて次は3年ということで、2期目の2年目ですね。最初の2年ぐらいは経営も無我夢中で、その時その時の状況でやってきたので、去年ぐらいから、スタッフも経験を積んできて落ち着いてきたところです。
 キャンプ場の運営だけじゃなくて、そこで得た利益だとか私たちのできることを地域に還元していきたいなというところで始めたのが、便の山区の“くき漬け”*2の伝承への取り組みだったり、銚子川シンポジウム”のことだったり、今ようやく当初の目的のところに広がりが出てきたかなというところですね。
 最初は本当にキャンプ場の運営だけで精一杯で、私もシーズン中は何も動けないし、今はスタッフが揃ってきて、育ってきているので、そこは任せてある程度自由に動けるようになってきた分、いろんな地域との繋がりを持つよう努めています。やっぱり銚子川がすごい良いところで、キャンプ場のスタッフが薦めているものということで、薦めてもらったものや店を、安心して利用してもらえるのかなと。そういう安心感で、くき漬けとか
地域の物を売っていくようなことも今後は考えていきたいと思っています。

*2 くき漬け:八つ頭の茎にシソの色と香りを生かして漬けこんだ漬物。夏の食欲が減退する時にぴったりのさっぱりした味の郷土食として、好評。【出典:MATe 三重県農業技術情報システム】

銚子川とリバーオートサイト

 自然が豊かで食べ物がおいしくて良いんですけど、まず仕事がないんですね。そういうのを少しでも、市民活動としてボランタリーにやりながらも、きちんと運営管理ができていける組織づくりを、夢が実現された中でもっと活躍したいなあと、皆で知恵を絞っているのが現状なんですよ。
 高速道路が開通し、国道42号に車が通らなくなると、どういうことが起こるかということは想像もついてますし、僕たちの町だけがというわけではないんですけど、この地域が目的地となって、あそこへ行こか、銚子川へ行こか、というようなまちづくりを進めていかんと、単なる通 過点のさらに寂しい町になってしまうという危機感もあり、いろいろ町とも相談しながらやっているところです。
 指定管理料に関してはちょっと変わった契約になってまして、キャンプinn 海山の施設利用料の売上は目標額が3,000万で、3,000万を超えたときと満たなかった場合で、負担割合が大きく異なるシビアな契約になっています。目標額をクリアするために頑張ったら
町に入れるお金も増えるんです。これは意外と魅力なんです。今までの組織では、町にお金を返すということは、まったく無かったけど、地域の人たちから「おまえら、ようけ儲けて」と妬まれることもあるけど、「いや、違うんですよ。僕たちも儲かるけど、町に入れるお金も増えている」というわけなので、そんなに言わんと褒めてくれと言いたいぐらいなんやけど、町長にも。(笑い)
 キャンプ場は続けていきたいですが、今は金銭面で頼り切っている部分があるので、新たな雇用ビジネスを模索しとるんです。

【データ】

三重県北牟婁郡紀北町海山区船津1548-1
Tel 0597-33-0077
Fax 0597-32-3800
E-mail furusatokikakusya@abox3.so-net.ne.jp
ホームページ http://www.furusatokikakusha.com/
代表者 田上 至
団体設立年月日  2006年4月14日
NPO法人化年月日  2006年7月10 日
会員数 12名
会費 3,000 円