理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.18

“ワンデイシェフ・システム”から「平成のおかげまいり」へ

こらぼ屋 代表 海山 裕之

“ワンデイシェフ・システム本部”として組織改変

「こらぼ屋」はいま、どうなっているのですか?

好評だったサンドイッチバイキング

 このほど「コミレスネットこらぼ屋」という名称からコミレスネットを外すことに決めたんです。フランチャイズ展開をすることになると、いろんな契約が発生してくるので、契約主体をキッチリ特定して打ち出していこうと、「こらぼ屋」という団体名になりました。“ばんこの里会館”のお店も直営店だったんですけれど、今は加盟店として別 の人が独立採算で今年7月から始めましたので、「コミュニティレストランこらぼ屋」は無くなって、“ワンデイシェフ・システム本部”としての「こらぼ屋」になりました。うちの場合は、ネットワークでワンデイシェフのレストランが繋がっているので、そのネットワークのコーディネートをする本部機能に力を入れているという状況です。

“ワンデイシェフ・システム”というのは、コミュニティ再生の仕掛け

“ワンデイシェフ・システム”創設の経緯と目的について教えてください。

 12年前に、人と人との付合いがなんか薄くなってきているということを感じまして、自分の子どもたちが大人になって社会に出て行ったときに、このままだと妙に生きづらい世の中になるような気がしました。その原因を考えてみたら、人と人の繋がりが切れてきて、コミュニティが機能しなくなってきているということが大きな原因かと思い、新しいコミュニティの形を提案していきたいというのが、自分の一番最初の思いでした。
 ワンデイシェフ・システムというのは、コミュニティを再生するための仕掛けなんです。まず「誰もが自分の色で輝いて欲しい」という思いがあり、それを理念に作ったシステムです。原則としてプロではない一般 の方にシェフとして登録していただき、そのシェフが日替わりで代わっていくという形をとり、ランチやディナーを提供するというレストランです。
 日替わりシェフということで、お客さんも注目してはいただいているんですが、うちが本来めざしているのは、シェフだけじゃなしに、もっといろんな分野の人たちがお店に関わっていただいて、その人たちの関係性をお店の現場でつくり変えていく、つくり上げていくことによって、お店に関わるメンバーの人たちがコミュニティとして機能していく。つまりお店の中にコミュニティをつくっていくということが、このシステムの本来の目的なんです。
 お話を聞きに来ていただく方に最初に「これは儲かりませんよ」ということを理解していただきます。趣旨や理念、目的に賛同していただける方たちにやっていただくことに意味があると考えますので、ビジネス的に考えたら誰がみたって採算取れないよねっていう仕組みなんです。
 三重県内のお店は津にもできましたし、“ばんこの里会館”以外に四日市にもう1つのお店もあり、3店舗になりました。視察に来ていただく場合でも、それぞれタイプが違うので、視察先がやろうとしているものに近いところを見ていただきます。

昨年の全国フェスティバルが、1つの象徴

10年経って、当初の思いが徐々に実現できていますか?

 1つの象徴が、昨年(平成21年)の全国フェスティバルですね。これは、当初から20店舗になったら全国 大会を開きたいと思ってたんですが、昨年20店舗を達成して、秋に「ワンデイシェフ全国フェスティバル」というのをやりました。第1回だったので、当時のこらぼ屋(ばんこの里会館)を中心に四日市市でやったんですけど、全国から18店舗が日替わりでシェフを送り込んでくれて、3週間にわたって各地の郷土料理や特産品を使った料理でランチを出す全国フェスティバルをしました。これは大盛況で、大変でしたけどすごく楽しいイベントになりました。
 全国各地の加盟店に日替わりで来ていただいたというのは、システムを導入して5、6年になるところもいくつかあって、ずっとお会いしてない人もいたわけです。私は毎晩各地のシェフさんと食事をしながら話をして、理念の共有を確認しあったんです。それで少なくとも半分以上のところは、「今でもこのシステムは面 白いし、よくできている」と言ってくださって、これならこれからこのネットワークでやっていくこともできるなという手ごたえも得まして、今年から本部体制3名のスタッフが入っており、いろいろな動きを起こしているところです。

ワンデイシェフ全国フェスティバル

「ワンデイズ」で多様な展開と中間支援コミュニティをめざす

「ワンデイズ構想」は、その後どうなっていますか?

 ワンデイシェフを2年3年と続けていく中で、料理以外にもいろんな能力を持った人たちが地域にはいると気づいたんですね。それは仕事としてではなく、趣味であったり、クラブ活動であったり、いろんな能力や知識を持った方がいるので、そういう人たちも「こらぼ屋のコミュニティ」にどんどん入っていただこうと考えて、そういう人たちを「ワンデイズ」と呼んでいるんです。
 「ワンデイズ登録」を始めてまして、ワンデイズの人たちがレストランの枠を飛び出して、いろんな活動をやっており、ミュージシャンやアーティストが、どんどん関わってきてくれています。
 そういうことをやっていると、20代とか30代の若い子たちが、ものすごく増えてます。20代は「こらぼ屋チルドレン」といって、カフェをやりたいとか、起業したい子たち、そういう子たちは、ここで企画を立てる勉強会をしたりしてますし、人材育成というと大げさですけど、最近、キーワードに上げているのは「中間支援コミュニティ」。このコミュニティ自体が中間支援的な機能を果 たすというか、昔は地域で若い人たちも、いろんな技とか知識を身に付けて、それで独り立ちしていくという仕組みがありました。うちは、その中間支援のコミュニティをめざしてます。

「平成のおかげまいり」、別名「スイッチ・オン」プロジェクト

将来展望について、お聞かせください。

 今後、三重県内は重点的にお店を増やしていこうという方針を立てています。それにはもう1つ理由があって、2014年にもう一度、三重県で全国フェスティバルをやろうとしてるんです。これは「平成のおかげまいり」という名称で計画してるんですけど、その前年の2013年が式年遷宮でおかげ年になるんですよ。そこで全国のシェフさんに来ていただこうと。4年後ですから各地にサロンができ、ワンデイシェフのお店も倍ぐらいにはなってるんじゃないかと想定してます。そういうところを経由して泊めてもらい、食事をご馳走になって、お金を一切かけずに全国からシェフさんが三重県に集まって来る。
 この「平成のおかげまいり」は、もう1つの名前が「すいっちょんプロジェクト」つまり「スイッチ・オン」なんです。
皆が助け合ってシェフを、お金を掛けずに三重まで届ける、そんなコミュニティがもう日本にあるんだということ。
そういう人たちがネットワークを作っていろんな活動をしているんだということを、示すことによってスイッチが切り替わる人たちが出て来ると思いますよ。

【データ】

三重県四日市市中部16-12
Tel 059-346-8812
Fax 050-3715-3815
E-mail koraboya1108@yahoo.co.jp
ホームページ http://www.koraboya.com/
代表者 海山 裕之
団体設立年月日  2003年1月1日
会員数 20名
会費(年) 10,000円