理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.17

『「仕組み」と「仕掛け」で、
松阪市や三重県を元気にしたい』

特定非営利活動法人 Mブリッジ
事務局長 濱田 昌平/理事長 米山 哲司

「まちの声」に背中を押されて… 

特定非営利活動法人 Mブリッジ(以下、「Mブリッジ」と略)の創設の経緯について教えていただけますか。

松阪市市民活動センター

 松阪市市民活動センターの指定管理者の公募が平成17年にあった際に、「松阪のセンターは、松阪の市民がやるべきでは?」という声と、「NPOにまつわる施設の指定管理者は、株式会社ではなくNPOが担うほうが理想的では?」という声が多かったと聞いています。それが正しいかどうかの判断は別にしますが、そういう「まちの声」が多いというのは、大事なことですよね。地元を愛する方々の素敵な言葉だとも思います。そんな声に背中を押されるように、まちづくり活動をしていた有志が集まって、NPO法人を設立することになったというのが経緯です。

イキイキと活動できている理由は、市役所が与えてくれた自由度でもある

各地の支援センターの個性も違って当たり前で、それが吸引力になりますね?

 市民活動センターの運営には、各市町それぞれのスタイルがあっていいですよね。「まちの顔、運営者の顔が見えない」と言われるよりは、「松阪らしい」、「Mブリッジらしい」と言われたいですね。そのためにもいろいろとチャレンジしつつ、常に改善を続ける法人であり、市民活動センターでありたいです。松阪市さんに感謝したいのは、「指定管理者の自由度」を大切にしてくださっていることです。周りから「イキイキと活発だね」とよく褒めていただけます。これは、そのようにさせてくださっている市役所のおかげでもありますね。ありがたいことです。我々は、用意いただいている自由度を預かりつつ、利用者への配慮や、協定などの基本事項を忘れることなく、これからも施設を管理していきます。

空き店舗を有効活用し、賑わいに繋げたい

カルチャースクール「ブンカの交流館」が「まちづくり型」と呼ばれるのは?

 営利企業も行政も提供しにくいサービスは、NPOの役割ですよね。このカルチャースクールの特徴は「まちづくり型」というところだと思います。民間の文化教室は利益の出ない講座運営はしませんし、行政は良くも悪くも堅い印象の講座が中心です。NPOの場合、それらのすき間に魅力的な仕掛けを作りたいと思っています。例えば、“プラモデル作り講座”とか、“おばあちゃんが教える漬物講座”って、ニッチな分野ですよね。しかし、これだけ趣味も多様化してくると、そういうニーズが生まれてきています。ここには深くて温かいコミュニティがありますね。
 Mブリッジは松阪の中心市街地に位置しており、地元の商店街の方々などと関わりがあります。松阪だけに限らないでしょうが、「空き店舗が増えて寂しい」という声をよく聞くようになりました。この課題をなんとか解決したいというコミュニティビジネスの視点から「ブンカの交流館」の仕組みが生まれました。市民の中にはさまざまな技術や知識を持ってみえる方がたくさんいらっしゃいます。その市民が講師になり、空き店舗を有効活用し講座を開いてもらったら、賑わいに繋がります。それが自主事業の1つ「ブンカの交流館」です。

高く評価された「仕組み」

 「なぜ、まちづくり型なのか?」ですが、ダンスの講座を例にします。通常のカルチャースクールは「その場で学ぶのみ」で終了しがちですが、我々の「ブンカの交流館」は発表の場を用意するところまでサポートします。例えば、中心市街地の祭りの中で成果を発表することができるような場を設けます。「学ぶ→披露する」、「披露する方が仲間を誘う→祭りが賑わう」ということです。これは今までにもあった普通のことかもしれませんが、その仕組みを提供してくれるところは意外に少ないのかもしれません。「ならば、NPOで!」という気持ちもありましたね。これからのまちの祭りは市民の力で盛り上げたいものですね。
 もう1つの特徴は、講師が独立することを応援しているという点です。生徒さんも連れて出て行くことも否定しませんよ。一般的なカルチャースクールは、先生はお金を生んでくれる立場ですから手放さないですよね。
我々は先生が出て行くことを勧めるんですよ。我々にとっては大事な講座がひとつ無くなるのは確かですが、他の空き店舗を埋めてもらえるならば、まちづくりに繋がると考え、応援しています。ちなみに過去に独立された講師さんと、それ以降も仲良くさせてもらっていますよ。
 発表の場を提供したり、他の空き店舗を埋めたりというNPOらしいところから、“まちづくり型カルチャースクール”と言われるようになりました。この仕組みが高く評価され、2009年には経済産業省の「ソーシャル
ビジネス55 選」に採択していただけました。この55選は「株式会社いろどり(徳島県上勝町)」など全国的に有名な事例が選定されています。その中に我々も選んでいただけた理由は、仕組みとのことでした。今、この仕組みを他の市町にも拡げ伝えようと考えています。ご興味ある方はぜひご一報ください。地元の人の力でまちが元気になりますよ。

これから期待されている新しい取り組み

「ぴのまちカフェ」と「ひとtoまち出版室」について、お聞かせください。

「ぴのまちカフェの活用風景」と「ブンカの交流館の東京での表彰シーン」

 先日、完成したばかりのコミュニティカフェが「ぴのまちカフェ」です。市民活動センターの入っているカリヨンプラザの一階が長く空き店舗のままでした。ここにカフェを作り、集いの場を設けたいということが一番の目的になっています。そこには「ブンカの交流館」の先生との繋がりを活かしつつ、先生の作品を紹介するための「ぴのまちギャラリー」を設置しました。俗に言うレンタルボックスですね。いろいろな集いのための貸切もお受けしています。
 また、「ひとtoまち出版室」という編集、印刷の取り組みも推進しています。民話、CSRレポート、自費出版などの発行を通じて埋もれつつあるさまざまな魅力を「伝えたい」と考えています。HPアドレスも http://tsutaetai.jp/ なんですよ(笑)。
 我々のまちづくり活動は、「“グローブ”と“リング”を提供するイメージ」です。例えば「私、何もできませんから」とおっしゃる方に「お持ちの技術は、立派なものですよ」とお伝えすることや、「お持ちの知識を出版されたらお求めの方がいらっしゃいますよ」とお伝えすることは、市民にボクシングのグローブを提供することだと思うんです。で、その方が活躍できるリングも提供しますと、この方は多彩で豊かな経験をなさって達成感や生きがいを得ていただけます。
 リングは、「ブンカの交流館」、「ぴのまちカフェ」、「自費出版」など多様です。ひとが元気なら、まちもいずれは元気になりますよね。そのようなまちづくり活動をしていきたいです。それが「松阪らしいね」と言われたら、本望ですね。

【データ】

三重県松阪市日野町788カリヨンプラザ1階
Tel 0598-23-8400
Fax 0598-23-8488
E-mail info@m-bridge.jp
ホームページ http://m-bridge.jp/
代表者 米山 哲司
団体設立年月日  2006年3月3日
NPO法人化年月日 2006年6月22日
会員数 10 名