理念と歩みから学ぶ NPO物語

理念と歩みから学ぶ NPO物語 Vol.14

『協働を支える新しいタイプの
 中間支援組織として』

四日市NPOセクター会議
議長 松井 真理子

バラバラでいては、存在感を示すことはできない

市民協働研究会の研究成果(市民協働促進条例づくり)を市長(当時)に提言

四日市NPOセクター会議(以下、「セクター会議」と略)創設の経緯と目的をお聞かせください

 NPOには人件費が認められないとか、行政の理解がないとか、NPO側はいろいろ不満を持っていますが、ただ不満を言っているだけでは何も変わりません。この声を対外的に届けなければならないのですが、残念ながら、NPOはこれまでバラバラで行動していました。個々のNPOがバラバラに行政にねじこんでいっても、行政も対応に困るだけですし、第一、弱小なNPOがバラバラでいては、存在感を示すことはできません。
 私たちNPOは、共通する課題で連携し、戦略的に共通の利益を実現させていかなければならないと思います。ですから、できるだけ多くのNPOが集まり、集団として行動するための組織が必要だと考え、2005 年夏に設立に向けた調査からスタートしました。
 調査をしてみると、NPOはたくさんの問題を抱えていることがわかりました。これを改善しようとすると、NPO自らがやるべきことも多いですが、行政等の仕組みを変える必要もあります。これをやるには、「NPOセクター」を意識した、セクターを担う存在の連帯による、力強い推進組織がなければ、実現は困難です。
 NPOセクターが力強くなることは、サービスを受ける市民の方々にとってもいいことですし、「新しい公共」を掲げる行政にとってもいいことではないかと思います。

直に政策の話ができる場

行政とのかかわりは?

 いろいろな準備を重ねて、2006 年3 月にセクター会議はスタートしました。当初から今日までほぼ毎月続けているのは、「四日市市民協働研究会」です。これは、四日市の市民セクターの活性化のためのしくみの研究を行う会議体ですが、当初はNPOと議会との共同研究会として始まり、2007 年7月からはNPO担当課や政策課など行政の方々も参加していただけるようになりました。
 2008 年の四日市市制111 周年記念事業としての「市民活動フェスティバル」を委託されたり、2009 年度に四日市市が創設した地縁団体とNPOによる「まちづくりパートナー会議」のNPO側の窓口を依頼されたり、現在策定中の四日市市総合計画への意見を求められたり、行政からの認知はかなり進んできたと感じています。

お互いに学びあい、良い方向に向かいたい

市内NPO代表が順番に講師を務める「NPO実践講座」

セクター会議としての強みは?

 多様なNPOが連携することで、お互いに助け合ったり、市民に対して質の高いサービスが提供できることです。これまで、セクター会議のNPOが順番に講師となって、市民向けのNPO講座を行ってきました。 市民だけでなく、NPO相互に学びあうよい機会になったと思います。
 また、子ども関係のNPOが共同で「子どもの人権」、福祉や男女共同参画のNPOが共同で「暮らしの中の人権」など、市民に対して人権講座を行っています。各NPOが行っている物品販売などを、相互に利用し合うということも行っています。

NPO 百貨店の開設

何か戦略としてお考えのことはありますか? 

 現在44 団体が会員となっています。NPOセクターとしての発言力や存在感を高めるためには、もっと会員団体を増やしたいのですが、会員になるにあたっては、「セクター」としてまとまることの意味を納得していただかなければなりません。
 NPOの発言力を高めるとか、政策に意見を反映させるということは大切なことですが、そのような抽象的なことだけでは十分ではないのです。NPOがセクターとしてまとまることで、自分たちの団体に仕事が来るとか、HPのアクセスが増えるとか、もろもろのメリットを感じてもらうことが、セクター会議を発展・継続させていくうえで必要だと感じています。
 また、地域の中では、市民の方はまだまだNPOのことをほとんど知りません。行政や企業も、最近はNPOと協働して事業をやりたいが、どんなNPOがあるか知らないという話も聞きます。これらを見ていると、もっとNPOが何をしているかを、外に対して見える形にしたいのです。それも堅苦しいのではなく、楽しい形で。
 そうすれば、NPOが何をしているかが市民に分かる、行政や企業も協働の相手方が見つけやすくなる。こう考えて、これまでのような個別 NPOを丸ごと紹介する形式ではなく、各NPOのサービスをより細分化し、分野ごとのサービスを売る「NPO百貨店」を創ることにしました。もちろん、インターネット上のバーチャルな百貨店です。
 例えば、一つのフロアを子どものフロアにします。そのフロアの中で、子どもの体験を提供するコーナー、お父さんのためのコーナー、お母さんの学習コーナーなど、活動内容を細分化し、各NPOのサービスの他のNPOとは異なる特徴を明確にして紹介します。
 百貨店ですから、食品のコーナーやアミューズメントコーナーもあります。こんなものを作れば、市民も楽しいし、参加するNPOもメリットを感じてもらえるのではないだろうかと考えています。本年8月8日がオープンの予定です。

まとまりを大切に、強化していきたい

今後の展望はいかがでしょう?

 まだまだ取り組みは始まったばかりですから、もっともっと強化していかなければいけないと思います。NPOが分野別 にまとまり、行政の各分野に政策提言をしたり、審議会等にNPO代表を送り込む母体となればいいと考えています。
 最近は、「行政との協働」が重要なテーマになっていますが、「協働」の重要な要素は「NPOと行政との対等性」です。ところが、サービス提供型NPOが増え、行政との契約が重要な収入源となると、NPOは行政に対して、真に対等な関係は持ちにくくなります。 こんな中で、少しでも対等性を担保するしくみとして、弱い立場のNPOが労働組合的な集団をつくり、集団として交渉するのが最も合理的ではないでしょうか。
 セクター会議は、協働を支える新しいタイプの中間支援組織として、今後発展させていきたいと思います。

【データ】

四日市市萱生町1200 四日市大学9401
Tel 059-363-3539
Fax 059-255-2640
E-mail ssk21ww@yahoo.co.jp
ホームページ http://www.geocities.jp/yokkaichinpo/
代表者 議長 NPO法人市民社会研究所
代表理事 松井真理子
団体設立年月日  2006年3月25日
会員数 44団体
会費 なし