理念と歩みから学ぶ NPO物語 vol.12
組織にスポットライトをあて
三重県内の市民活動団体を紹介していきます。


特定非営利活動法人 なばりNPOセンター
語り手:伊井野雄二(理事長)

行政、企業とNPO・ボランティア団体を繋ぐ
……なばりNPOセンター(以下、「NPOセンター」と略)のミッションを教えてください?
まずは、名張市内のNPOやボランティアの支援、情報収集や情報発信といった一般的な中間支援の役割です。
それと各セクターとNPOの橋渡しです。行政や企業のほか、名張市では地域づくり委員会の活動が盛んですので、地域づくり委員会との協働も考えています。また、地域のさまざまな団体との協働事業をNPOセンターから企画提案することも考えています。
そして最後、名張市民活動支援センター(以下、「支援センター」と略)の管理がNPO等に委託されることになれば、公募に参加することを明らかにしています。
……現在、支援センターの管理は民営ではないのですか?
名張市から委嘱された人たちで作られた運営委員会はありますが、基本的には公設公営の施設です。
……NPOセンターの設立と支援センターとの関係は?
利用者として支援センターを利用するうちに、支援センターのスタッフであり、現在NPOセンターの理事でもある末次さんと親しくなりました。支援センターはセンター長がいなくて、市役所の企画財政部地域経営室が代行している状態なので、スタッフを指導する人がいません。近鉄名張駅近くという立地条件もいいし、スタッフもいるのに有意義な事業が行われていないように私には見えたので、将来的には支援センターの運営を受託することも視野に入れてNPOセンターを立ち上げたいと末次さんに相談したところ、理事として協力していただけることになりました。
……理事や評議員はどのような顔ぶれですか?
私が声をかけたのは「なばり廃食油リサイクルの会」の吉井さんと、元幼稚園園長の吉永さん。その二人が周りに声を掛けてくれて、タウン情報誌の元副編集長や元消防長、子どもとの遊びという分野で活躍している「あそびっくすin東小」の委員長などが集まりました。また、行政などの事業を受託するには、できたばかりの団体で経験が無いのでは難しいと思いましたから、10年以上の活動歴がある“(特活)赤目の里山を育てる会”の理事である吉田さんにも声を掛けて、10人の理事と監事が揃いました。
評議員は、名張商工会議所の会頭や皇學館大学の教授、名張近鉄ガス株式会社の社長など、名張の重鎮が揃った錚々たるメンバーですよ(笑)。実は絶好のタイミングで、私が名張市のバイオマスタウン構想検討協議会の審議員に選ばれたのです。先に挙げた評議員の方たちはその協議会のメンバー。NPOセンター設立にあたって、皆さんに声を掛けたら、快く応じていただきました。皆さん、NPOセンターに対して、熱心な考えをお持ちだし、市民サイドが公益を担うことに対しての期待も高いですね。
……その他の会員さんはどのような方が支えてくださっているのでしょう?
正会員と賛助会員があり、それぞれ団体会員と個人会員に分かれています。企業やNPO、個人など合わせて38となっています。
名張市総合防災訓練に参加
企業へ事業提案

……協働というと相手は行政と考えがちですが、地域づくり委員会や企業との協働にも力を入れておられるそうですね。
名張では平成7年度から12年度までの間に、市内を14の地域に分けて「まちづくり協議会」というのが組織され、地域の個性を活かしたまちづくりを行っていました。現在は、「地域づくり委員会」という名称に変わりました。地域の大きさはだいたい、小学校区くらい。それぞれに予算を分配し、その予算で地域づくりを担うという方式です。全国からも、たくさんの問い合わせがあるそうです。NPOセンターを立ち上げた時に、この活動とNPOをドッキングさせることも役割だと、理事みんなで議論しました。地域づくり委員会からNPOを見ると、未だに変な誤解があります。例えば「好きなことをやっているだけ」とか、「事業ということはお金を稼いでいる。儲けている」みたいなね。NPOセンターが地域づくり委員会と懇意になり、互いに支え合うことで、誤解も解いていきたいです。
……具体的な協働のアイデアはありますか?
NPOセンターではありませんが、“赤目の里山を育てる会”が、桔梗が丘地域の地域づくり委員会と協働を行っている例があります。
“赤目の里山を育てる会”では、木材を利用して木質ペレットを作り、それを燃料に使っています。一方、地域づくり委員会では市の委託を受けて、街路樹の伐採を行っているのですが、伐採した木材の処理に費用がかかることに悩んでいました。そこで、“赤目の里山を育てる会”が一般廃棄物再生利用業者として登録をして、伐採した木材を引き取れるようにしました。互いの利益が上手くマッチングしたわけです。この出会いは偶然でしたが、NPOセンターでは意識的にマッチングを取り持ちたいですね。
……他の企業との協働についてはいかがですか?
NPOセンターでは名張市内の八幡工業団地にある各企業へ機会を見つけて順次訪問しています。ほとんどの企業は5分くらいで話が終わるのですが、ノーベル製菓を訪れた時、八幡地区のゲートボール大会などで、自社製品のキャンデーを配っているという話を聞きました。そこから、NPOセンターと企業が一緒になって公益を実現することができるのではないかと考え、キャンデーを仲介にすることでノーベル製菓の知名度を高める事業を提案しました。
簡単に言うと、キャンデーを100キロくださいということです(笑)。
伊賀地方のNPOやボランティアが事業を行う時に、NPOセンターに申請してもらい、キャンデーを配布します。それをイベント等を盛り上げるために使ってもらうことで、ノーベル製菓の知名度や親近感を高めようという方法です。
また、100キロとは別に50キロもらう約束もしました(笑)。こちらは、伊賀地域内外で災害が起こった時に、救援物資として提供します。
調印式はノーベル製菓名張工場会議室で行いました。契約書を取り交わし、4月1日から1年間、「キャンデー」を使った地域貢献の仕事に取り組むことになりました。新聞記事で大きく取り上げられましたが、その記事を見た他の企業も「うちも何かできないかな」と、少しでも思ってくれればいいですね。災害での提供は県内の方でもできますから、センターにお問い合わせください。
地道にこういう活動を続けて、数年後に「言いにくいんですけど、寄付お願いできませんか?」と切り出せば、「NPOセンターは頑張ってるから、10万円あげるわ」ってならないかなぁ。それも戦略でしょ(笑)。
名張市民と地域に、企業がどうやって貢献したと言えるのか。それもお金のやり取りではなく、商品や企業人をニーズと合わせていくことは、私たちの課題ですね。今後は100企業を目指して、企業と対等に、わかりやすい事業推進ができるような中間支援組織になっていきたいですね。
ノーベル製菓との調印式
人材づくり・資金づくり

……中間支援団体としては、人材育成も大きな要素でしょう?
名張市は大阪に通勤している人たちのベッドタウンです。人材育成を考えた時にキーワードになるのは、団塊の世代など、会社をリタイアしたシニアです。これは重要な社会資源ですから、これをどう活用するのかは大切です。
私は、地域づくり委員会と地域のNPO・ボランティア団体の結びつきを強めることで、シニアの活動を活発にできるのではないかと考えています。
……シニア向けの市民活動講座などを開催するのですか?
NPOセンターではなく、別のNPO法人としてシニア世代の講座を開催しましたが、人が集まりませんね。では「個別にグループを紹介しましょうか」といっても、60歳をすぎて、社会から一度離れたようなおじさんたちが、再び社会に関わるというのは難しいものです。何か活動はしたいけれど、「おじさんが頭を下げて行くほどのことじゃないよな。頭下げるのは嫌だな」って思っている人、いっぱいいると思います。そこでNPOセンターの出番です。NPOセンターって名前もちょっとお役所っぽいし、中間支援ですから、人と団体をつなげることもできるのではと、私は期待しています。NPOセンターの紹介があれば、団体へのアプローチもしやすいでしょう。
シニアという社会資源を復活させることは、少子化の対策の一つになるだろうし、少子化が進んでいる名張市はそうしないと生きていけないでしょうね。
……シニアを引き込むノウハウは?
いろいろなノウハウを持った人たちが理事として集まっていますから、わかりやすい形で課題を出せば、新しいノウハウが集まる要素がNPOセンターにはあります。
また、新しい活動団体を生み出し、その過渡期を支援することもできるかもしれません。例えば、伊賀地方は外国から来ている労働者が多いですから、彼らのサポートをする活動を生み出すきっかけづくりをセンターが担うとかね。
……若い世代との結びつきはありますか?
私たちは若者にノウハウを提供したいと思っていますが、若者たちがどこにいるのかがわかりません。これは難しい問題ですよ。若者がNPOを立ち上げて頑張っているという話、あまり聞こえてきませんよね。今のところ人材面ではNPOセンターには明るい展望はありません。シニアや専業主婦ぐらいでしょうか。若者も含めて、これらの人々を社会に連れ出して、育てていくことも中間支援の大きな仕事と思っています。
……資金面では、どのような工夫をされていますか?
法人設立の時に大々的に祝賀会を行いました。名張市長も最初から最後まで残ってくれましたし、企業の代表から地域のおじさんまで、さまざまな立場の方が120人も集まってくれました。たくさんの人に、「いろいろな人が集まった画期的なパーティでしたね」と言われました。これはNPOセンターが何の利害関係もない団体だからだと思います。
この「人の繋がり」を上手く利用すれば、面白い可能性が出てくると思いますし、資金集めのパーティもできるかもしれませんね。
……政治家みたいですね。
中間支援団体が資金集めのパーティをしてもいいでしょ(笑)。情報提供の場であり、飲み会でもあるって面白くないですか?一杯飲んで、みんなと普段できない話ができれば、会費5000円ぐらいなら安いものだと思いますよ。
中間支援団体が資金面で成立するには、多くの人からの支援があることに尽きると私は思います。講座や講演開催だけでは、運営できませんよ。多くの活動を行うなかで、会費や寄付というありがたい浄財を寄せてもらう以外、中間支援団体が成立する道はないでしょう。そういう状況も踏まえて、きちんと組織を確立していきたいです。

【データ】
三重県名張市上三谷268番地1
Tel.0595-64-0051
Fax.0595-63-4314
E-mail office@akame-satoyama.org
ホームページ http://www.geocities.jp/nabarinpocenter/
●代表者 伊井野 雄二
●団体設立年月日 2009年8月26日  
●NPO法人化年月日 2009年11月18日
●会員数 38個人団体
●会費 【正会員】団体5000円・個人3000円
    【賛助会員】団体10000円・個人5000円
おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご留意のうえ、積極的なご活用を期待しています。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、毎月10日までにお送りください。
(2)送付はE-mail(ない方はFAX)で。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
E-mail center@mienpo.net Fax.059-222-5971


転載を希望される場合は必ず「みえ県民交流センター指定管理者:みえNPOセンター・ワーカーズコープ」に連絡してください。
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