理念と歩みから学ぶ NPO物語 vol.11
組織にスポットライトをあて
三重県内の市民活動団体を紹介していきます。


特定非営利活動法人 津市NPOサポートセンター
語り手:川北 輝(理事長)

幅広い年代層のスタッフが強み
……津市NPOサポートセンター(以下、「サポートセンター」と略)の“強み”は?
若い人材が集まってきていること。それに、20代から60代まで、各世代のスタッフがいることですね。スタッフの世代や性別が偏ると、出てくるアイデア等も偏ってしまう気がしたので、さまざまな世代に渡っていた方がいいとは思っていました。
各世代の意見を聞くこともできるし、年齢によって繋がりも面白いものがあります。若い世代の繋がりは若者が集まってくるし、50代以上になってくると企業の役付の方やビルのオーナーなどとも繋がれます。津市役所との関係にしても、それぞれの年代で顔見知りや同級生などがいて、働きかけやすいですね。
……地域のセンターとしては、“強み”ですね。
もう一つ、気をつけているのはスタッフの男女比です。スタッフ12人中、自分だけが男性だった時期があり、自分の意見が正しいか判断できなくなったことがありました。今は17人中、5人が男性。まだまだ男性のパワーは弱いけれど(笑)、男性同士で語り合うこともできるようになりました。あと、力仕事などの面でも楽になりました。

市民活動団体の支援を手段に、津市を活性化

……サポートセンターのミッションと、めざしておられることを教えてください?
津地域の市民活動団体の支援という手段をとって、地域全体を活性化させていくことです。まだまだ政策提言とまではいきませんが、将来的に津市の行政と一緒に政策をつくれればと思っています。それによって、より良い津市をつくっていきたいというのがミッションですね。
……そのための具体的な内容は?
受託事業が多く、なかでも大きいのはセンターパレス2、3階にある“津市市民活動センター”(以下、「活動センター」と略)の指定管理と、地下にある“まんなか交流館”の委託事業です。これらは12月29日〜1月3日を除く年中無休で、開館時間は10時から22時までです。
その他、まんなか交流館の活性化事業や三重県の物産を発掘して、都市部で販売していく「みえご縁市場プロジェクト」、津のブログのポータルサイト「津のこと」の運営を受託しています。各事業に対して4人前後のスタッフが必要になります。このほか、サポートセンター独自の事業として情報誌「Nスタイル」の隔月発行や講座などを開催しています。
……運営上の課題は何ですか?
委託事業を受けすぎてしまう傾向がありますので、委託事業が無くても運営できる資金の仕組みを作ることですね。
もう一つは、NPOや市民活動がまだまだ世間に認知されていないようですから、もっと多くの方に知ってもらう努力をしなくてはいけないと考えています。
展望としては、今、試験的に行っているさまざまな事業を(1)“広報” (2)“IT”。事務代行ではなく、会計の勉強会や事務書類の作り方など(3)“事務ノウハウの支援”。(4)“人材育成” (5)“行政との協働”の5つぐらいに絞って、深く、安定した事業にしていきたいと思っています。
……それぞれの分野で、現在取り組んでいることは?
「広報」では、情報誌の発行。全スタッフにそれぞれコーナーを任せて、編集しています。
「IT」は、ブログ講座のほか、技術的な相談は必要に応じて随時、受けています。実は活動センターの登録団体が約300ある中で、メールアドレスを持っているのは50団体ぐらいしかないのです。当然、インターネットでの情報発信もできません。最近は企業も行政もネットで調べますから、団体の情報が何もヒットしないという状況は避けたいですね。
その一方で、大学生にボランティア募集のチラシを見てもらおうと思うと携帯電話用のQRコードが必須。このギャップをどう埋めるか、ちょっと悩んでいます。
「事務ノウハウの支援」にも繋がりますが、メールアドレスが無い上に、自宅を事務所代わりにしているため、住所や電話を非公開にしている団体があります。そこの活動に興味を持っても、連絡手段が無いため、サポートセンターが仲介しても立ち消えてしまうケースも多いです。事務はおろそかになりやすい部分ですが、そこをきちんとしないと団体は継続できません。窓口対応で損をしている団体もありますから、各団体に努力をしてもらいつつ、僕らも何かできないかと考えています。
津市市民活動センターの窓口
津市市民活動センターの間取り

一般人の意識・意見を大切に

……事業の発想、企画についてはどうですか?
「NPOって何?」というレベルでスタッフになった人が意外に多いのですが、逆にその意識や意見を大切にしたいと思っています。
専門用語と言うと変ですが、僕らが意識せずに使っている言葉でも、NPOをよく知らない方には通じなかったりします。その時に改めて「この言葉は一般的ではないのだな」と、勉強させてもらっています。
企画書やチラシづくりにしても作った後にスタッフから「これじゃ、誰も行かない」と言われて(笑)。みんなでイチから考えています。
……事業の組み立て方も変わりましたか?
今までは会議を何回も重ねて良い事業をつくろうとしてきましたが、最近は、毎月の会議はきっちりと行いつつも、どこかで“勢い”を大切にしています。
いろいろな発想をスタッフから出してもらい、みんなが共感して面白いと思えるものがあれば、会議を重ねていなくても、「やっちゃおう」と進める時があります。
一見、考え無しのようですが、幅広い世代が集まった状態で、みんなが面白いと感じた企画は、案外上手くいったりします。それによって、ニーズへの対応が早くなったとも思います。
……「人材育成」についてはどうお考えですか?
実は、去年から「NPOで働きたい」という問い合わせがかなりきています。そういう若者がいるのであれば、三重県として働ける場を提供することは必要だろうと強く思います。
サポートセンターとしては、去年までは「ファシリテーター養成講座」や「あがり症、話下手克服講座」などを行っていましたが、現在はもう少し違う形で講座をできないか思案中です。
また、「この仕事はこの団体がやったらおもしろいだろうな」と思っても、法人格をもっていないから行政や企業と直接契約はできないというような場合、サポートセンターが契約を受けて、その事業に相応しい団体と組んで事業を行うことはできないかと考えています。

協働ありきでなく、慎重に

……では、「行政との協働」についてはどうでしょう?
そこは一番難しいというか、慎重に扱わなくてはいけないテーマだと感じています。津市の場合、市民活動団体との協働の実績が少ないですし、市民活動団体自体の情報も少ないので、どうしてもサポートセンターに依頼が偏ってしまいます。
協働する際にも、お互い考え方が違いますから、NPO側にも、行政側にも、一緒に仕事をするとはどういうことかを伝えていかないといけない。お互いの強みを活かすというと簡単ですけど、何が“強み”かわかるまで、結構、時間がかかりますね。
……双方に理解がないと協働は難しいですね。
必ずしも協働すればいいというものでもありません。サポートセンターで、ある協働事業に取り組んだ時、最終的に感じたのは、この事業は一緒にやる事業ではなく、事業の一部だけを請け負うべきだったということでした。それに気づくためには、事業後のフィードバックをきちんとやること。無理して協働して、お互い心身共に削られていくようではもったいないですね。
……サポートセンターと津市の関係はどうですか?
サポートセンターが行う多くの事業に参加してもらっていますし、年間予算や事業に関しても、毎年、話し合いの場を設けてもらっています。資金面でも、事業内容でも行政から一方的に押しつけられることはないし、予算に関しても前向きに検討してもらえますから、すごくやりやすいですね。もしかしたら、あえて協働と言わなくても、できている部分なのかもしれません。
僕たちは、市役所や企業から受けた仕事はきっちりこなしたうえで、成果を出すことを心がけています。そうすることで行政から高い評価をしていただけますし、その評価があってこそ事業委託の話がいただけます。今はまだ事業提案ができるとまではいきませんが、評価が高まれば、こちらから事業を持ちかけることもできると思います。
あらゆる角度から資金づくり
……運営資金はどうしていますか?
8割ぐらいが受託費です。活動センターの場合、人件費が運営費を上回っていますので、それを補填するためにいろいろ考えています。まず、市民活動団体が利用できるオフィスブースと会議室の貸し出し。オフィスは19ブースあって、月5000円ですが、ここ数年はすべて埋まっています。会議室は有料ですが、活動センターの登録団体は無料で使えます。活動センターの設立趣旨は市民活動の活性化ですから、活性すればするほど、減収入(笑)。その点は今、津市市民交流課と交渉中です。印刷機、コピー機もサポートセンターの所有物ですから、この使用料も資金になります。
最近では、「みえご縁市場プロジェクト」と連携して、物産を販売したり、確定申告の行われる時期に合わせて、物産販売やサポーターズカフェを開催しています。カフェはコーヒーを200円で販売し、その売上げの一部を市民活動団体に寄付してもらう仕組みです。
今年度は事業全てを受託するのではなく、“津市げんき大学”の講座部分や“シニアボランティア入門講座”など、事業の一部を担当する受託もありました。
今後は委託事業ではなく、できれば自主事業の方向に進んでいきたいなとは思っています。
……他の団体からの事業委託もあるのですか?
今はほとんどありません。シニアボランティア入門講座では津地区ボランティア連絡会と一緒にさせていただきました。他の団体と実行委員会形式でイベントをつくるとかは今までもありましたが、一つの団体とじっくり向き合って、技術やノウハウを交換し、お互い同じ目標に向かって行くというのは経験不足ですね。そういう取り組みのためには資金が必要ですから、資金づくりの仕組みを考えて、今後は協力して地域のためになるような、深い関わりを持ちたいと思っています。
……ミッションを実現させるためにも、資金づくりは大切ですね。
資金づくりの仕組みをきちんとつくって、できれば他のNPOの見本になりたいですね。NPOでもきちんと収益を出して、安定した生活ができるというのを見せていければと思います。
シニアボランティア入門講座、視覚障がい体験

【データ】
三重県津市大門7-15 津センターパレス3階
Tel.059-213-7200
Fax.059-213-7201
E-mail tsusimin@ztv.ne.jp
ホームページ http://www.ztv.ne.jp/tsusimin/
●代表者 川北 輝(理事長)
●団体設立年月日 平成17年4月25日
●NPO法人化年月日 平成19年10月17日
●会員数 33名
●会費 2000円
おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご留意のうえ、積極的なご活用を期待しています。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、毎月10日までにお送りください。
(2)送付はE-mail(ない方はFAX)で。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
E-mail center@mienpo.net Fax.059-222-5971


転載を希望される場合は必ず「みえ県民交流センター指定管理者:みえNPOセンター・ワーカーズコープ」に連絡してください。
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