理念と歩みから学ぶ NPO物語 vol.3
組織にスポットライトをあて
三重県内の市民活動団体を紹介していきます。


特定非営利活動法人 みえきた市民活動センター
語り手 服部則仁さん(理事長)

市民活動団体と一般の人。その心の距離

……現在までの変遷は?
2000年の春に前身である“平成の町割会”という任意団体をみんなで作りました。きっかけは、三重県県土整備部が桑名で行った市民活動団体交流事業でした。
会の目標は3つ。一つは情報の循環。「まちのかわら版」というニュースペーパーを月一回発行する他、インターネットのメーリングリストで頻繁に情報を交換しました。もう一つは各団体の活動内容を知り、団体が交流すること。月一回、団体紹介を行う交流会を開きました。一年半ほど続け、出席者が半減したところで、市民活動団体同士の信頼感は生まれてきたと判断し、終了しました。最後の一つは活動拠点。これには、市民活動をしている人たちのサロンという面と、市民活動を行っていない人たちに対して情報を届ける開かれた場所としてのプラザという二つの側面があります。具体的には団体の活動を支援するため、小さな団体の共同事務所機能とか、会議室など場所提供機能とかを持たせました。
……市民活動をしていない人への情報提供は?
「まちのかわら版」は、桑名員弁地域の公的施設のほか、銀行や喫茶店など100ヶ所以上に置いてもらい、部数も1000部くらいから始めたのが3000部になり、ページ数も24ページにまで増えました。内容は市民活動団体紹介、イベント紹介、トピックス、お得情報、行政情報などです。可愛いイラストがたくさん入っていて、身近に感じてもらっていたようです。桑員地域に市民活動の調査などに来た人たちがお土産に持ちかえることも多く、地域の市民活動の水準を照らし出したペーパーメディアだったと思います。4年間48号というのは担当者に感謝です。
……市民活動団体と一般の人々の距離は、近づきましたか?
市民活動をしている人に必要なのは、一般の人からの応援。それは寄付や場所の提供などもそうですが、もっと心のレベルで「頑張ってるね」と声を掛けてもらえるような距離感の近さだと思います。それがあれば、元気が出るかな。そのためには、取り組みを知ってもらうことが第一。でも、市民活動団体はあまり上手に情報が出せていないような気がします。
市民活動団体の本来のメッセージは「問題がある。それをなんとかしたいんだ」と伝えていくこと。それなのにイベントの告知はするけれど、「なぜその事業をするのか」という理由や、取り組み結果の報告はあまりされていません。これは、市民活動団体が一般の人に対して感じている心の距離感が、そのまま情報の出し方として現れているような気がしますね。

民営中間支援センターの役割を意識して。

……法人化で、変わったことは?
2007年8月に桑名市市民活動支援センター(2009年4月より桑名市市民活動センターに名称変更)ができたのにあわせて、活動拠点としての事業は終わらせていきました。今は連絡先として、メンバーの一人が経営しているお店に事務局を置いている程度。電話は事務局長に転送、団体へ届いたメールは5人のメンバーで共有して、対処しています。執行役員という感じでしょうか。この方法だとメールをザッと見て、「これは自分の担当だな」と感じた人が対処すればいいし、情報を共有できます。内容によってはメーリングリストである「まちのファンクラブ」へ紹介します。
……メンバー数は?
“平成の町割り会”の参加者はピーク時で120〜130人ほどいましたから、その大きなネットワークは現在、「まちのファンクラブ」という形で、インターネット上のネットワークとして機能しています。その中の十数人が理事か監事になって“みえきた市民活動センター”として法人化し、今に至っています。メンバーは、企業の経営者や会社員もいれば、職業としてNPOで働いている人もいます。立場は様々ですが、みな、市民活動やNPOに関心のある個人の集まりです。
町割り会の3つの目的の内、現在生きているのは情報循環の機能ぐらいかな。周囲の変化に合わせて、私どもが手を抜けるところは、どんどん抜いてきたということでしょう(笑)。
……会議などはどうするのですか?
日常の打ち合わせなどはメーリングリストや電話などで対処できます。理事会や総会もネット上でできるのでしようが、そこまですると顔を合わせる機会がますます減りますから(笑)。市民活動をしている人の大多数は、24時間のうちの30分を使って市民活動に関わっているとわかれば、それに合ったやり方をいろいろと考えますよね。
……他に団体運営の工夫は?
NPO法人の定款を作る時、多くの団体が公益法人の定款を下敷きにした結果、事業計画や予算計画を総会で決定することにしたようですが、私たちは総会では事業の方針を決め、事業計画、予算計画は理事会で決定するという定款にしました。また、事業報告をホームページにも掲載しています。
総会では決算や事業報告の承認の他は、今年の方針が数本並ぶだけで、あとは「何やりたい?」とみなで話し合う場になっています。NPO法はそういうことを可能にする法体系にしています。みんなでわいわいやるのが楽しいのです。会計システムも税制用とは別に、非営利団体としての有り様を示す会計システムがあるはずですよ。
……活動費用などは?
うちの財政規模は年間30万円くらい。メイン事業である「まちのかわらばんIT」は事業費ゼロ。イベントをすればボンとあがりますが、基本的には会費と寄付でやっています。お金が無くてもやれることはいっぱいありますからね。
……活動内容は?
「まちのかわらばんIT」というインターネットラジオという形の情報発信です。2007年にペーパー版を終了した後、2008年から毎月1回ホームページ上で発信しています。1年半ほどで約60の市民活動団体にインタビューし、その音声ファイルを中心にアップしています。インタビューをそのまま音声で聞けるということは、ラジオの生放送と同じなんですね。人柄や考え方、言葉の後にある部分がいっぱい見えるんじゃないかなと期待しています。社会に関わるために、自分が住む地域でどんな団体があるのかと探した時、インタビューを聞くことで文字情報とはまた違った伝わるものがあると思います。
ペーパー版の「まちのかわら版」 「まちのかわらばんIT」

……その他は?
地域の市民活動のネットワークとしてアクションすべきことはだいたいやっていますね。例えば公設のセンターや市民活動団体と交流したり、“みえNPOセンター”という広域のみえ全域のネットワークになんらかの形で関わったり。そこで得た情報は、「まちのファンクラブ」にフィードバックしていますし、それ以外にも全国規模のネットワークからの紹介などもありますから、ファンクラブのメンバーは桑員地区で起こっていることだけでなく、三重県や県内の市町、全国規模でのNPO情報を持っています。この部分はファンクラブ以外の人にはあまり見えてないでしょうが、市民活動を行っている人たちが、社会の中で自分たちがどの位置にいるのかを確認できる情報を提供することが大事だと思っています。
これ以外にも、メンバーが提案した企画はほとんど実現できるよう、比較的緩やかなミッションになっています。ただし、必要な資源、場所や人、お金などは自分で集めてくださいねと(笑)。
……具体例はありますか?
今年1月に、“特定非営利活動法人シーズ・市民活動を支える制度をつくる会”の事務局長、松原明さんを桑名にお招きしました。去年はNPO法ができて10年経った年。これまでの10年と、これからの10年を多くの人たちが振り返った時期でした。全国から発信される意見を見ていると「違うんじゃない?」ということも多くて。 もちろん、それぞれの必然性で出てきた意見なのですが…。それで、NPO法を作るために、一緒に汗をかいた松原さんの考えを聞かせてもらいたいと思い、企画しました。
……企画に際して工夫したことは?
“みえきた”だけで企画するのではなく、“みえNPOセンター”と共催で行いました。“みえきた”だけなら、三重県の桑員地区という単位ですが、“みえNPOセンター”が関われば、三重県という単位になる。これは、全国に発信する時のアピール力が違いますね。全国に対して一定の影響力を持つことができます。また、会場を桑名市市民活動支援センターにすることで、県内のNPOと連携を取りながら、行政とも関係を築いていることが伝わるようにしました。また、“みえきた”が段取りをすることで、三重県内の中間支援センターへのメッセージを送ることにもなります。そして、「これまでの10年の反省よりも、これからの10年に対してのメッセージを作って」、それを全国に発信したわけです。
場所や一般的な情報提供は公設公営センターの機能でカバーできる。そうすると地域で民間が取り組むNPOネットワークの果たすべき役割は何か?さらに地域や分野を超えたネットワークがあれば、活動している個々のNPOが感じている地域課題を多くの人たちに伝え、全国に対して情報発信もできる。行政のカウンターパートという役割も。“みえきた”は、地域のNPOのネットワークとしてどうあるべきかを意識して活動しています。
……活動の意義について意識的ですね。
NPOというのは、普通の人々が社会に関わるための仕組みです。それぞれが違った考え方を持っているのはあたりまえで、それらの人たちが自分たちの思いを社会の中で形にし、課題をいっしょに解決していく。その時に「非営利である。利益を分配しない」と言うのは、「自分の私利私欲のために動いているわけじゃないよ」という一種の約束でもあると思います。
今、“みえきた”の動きは、表面的には「まちのかわらばんIT」だけぐらいに見えるかもしれませんけれど、「まちのファンクラブ」と重ねて、そういう視点から動きを組み立てていると理解してもらえると嬉しいですね。
会議の様子。

【データ】
特定非営利活動法人みえきた市民活動センター
住所 511-0088 桑名市南魚町86
Tel.0594-27-2700  Fax.0594-27-2733
E-mail miekita@mie-kita.gr.jp
ホームページ http://www.mie-kita.gr.jp/
●代表者 服部則仁(理事長)
●団体設立年月日 2000年6月24日
●NPO法人化年月日 2003年4月1日
●会員数 13名
●会費 12000円
おねがい
市民活動・ボランティアニュースに情報を提供される際、以下のことにご留意のうえ、積極的なご活用を期待しています。
(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、毎月10日までにお送りください。
(2)送付はE-mail(ない方はFAX)で。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
E-mail center@mienpo.net Fax.059-222-5971


転載を希望される場合は必ず「みえ県民交流センター指定管理者:みえNPOセンター・ワーカーズコープ」に連絡してください。
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