理念と歩みから学ぶ NPO物語 vol.2
組織にスポットライトをあて
三重県内の市民活動団体を紹介していきます。


特定非営利活動法人 みえ防災市民会議
語り手
山本康史さん(議長)

コーディネーターに必要なのは、コミュニケーション能力

……みえ防災市民会議(以下、市民会議と略)の設立は?
平成20年3月に法人化しました。前身は三重県が平成12年に組織した三重県防災ボランティアコーディネーター養成協議会(以下、養成協議会と略)です。阪神・淡路大震災を契機に、防災に取り組むボランティアが生まれましたが、その力を有効に生かすためにはコーディネーターが必要だと考えられ、その人材育成のために作られました。
平成13年から県の委託を受けて、防災ボランティアコーディネーター養成講座(以下、養成講座と略)を始めました。この講座は今も、活動の柱になっています。
……養成協議会がそのまま、市民会議に移行したのですか?
養成協議会のメンバーに「新法人を設立するので一緒にやりませんか?」と声掛けしました。現在メンバーは97名。男女比は6:4で、年齢は60歳代以上が一番多く、30歳代、40歳代も結構います。
……災害ボランティアの経験者は?
養成協議会結成の時に集まった30名の内、被災地での活動経験があったのが半数ぐらいでした。
……メンバーはどうやって増やしたのですか?
養成講座の受講生に声を掛けて、翌年は講座を作る側に回ってもらいます。毎年、受講生はいますから人も増えますし、入れ替わりもあって、新陳代謝にもなります。
……講座受講生の公募方法は?
県の委託事業だった時は、広報などにも掲載しましたし、養成協議会のメンバーが「この人なら」と思う人に声も掛けました。
自治会参加者やまちづくりや国際交流など防災以外の分野ですでに活動しているなど、二足、三足のわらじが履ける方たちです。
災害時の活動は、普段の活動分野関係無しの総力戦。周りの人と協力関係が作れるということが大切になります。市民会議のメンバー個人がどんなに頑張っても、地域の復興に直接的な力にはなりません。でも、それぞれが持つネットワークを総動員できれば、もの凄い力になると思っています。
……一般からの応募もあるのでしょう?
もちろんいます。
養成講座ではオリエンテーションを行い、私たちがどんな講座を行い、どんな人を養成したいのか全て伝えています。その後、全員に受講希望理由を述べてもらい、作文を提出してもらいます。これらを全てチェックして、選考しています。
コーディネーターというのは、様々な専門家とつながれる人というのが条件の一つだと思っていますので、社交性、コミュニケーション能力がある人を選んでいます。
……養成講座の定員は?
一応、30人ですが、相応しい人が多ければ、全て受け入れますし、逆に応募が定員割れしていても、向かない人はお断りしています。
……市民会議に参加しようと思ったら、講座を受けなくてはいけないのですか?
NPO法人である以上、希望者は誰でも参加できますが、一番いいのは講座を受講してから入ってこられることだと思っています。講座が私たちの活動を知っていただくのに一番良い場だと思いますから。
……メンバーが多いと活動が大変では?
養成講座は県内全域が対象ですから、メンバーも各地域に散らばっています。それで北勢、中勢、松阪・伊勢志摩、伊賀、東紀州というブロックに分けて、ブロック独自で月一回、会議を行っています。
全体の定例会は、各ブロックから一人以上出席してもらい、事務局のメンバーも参加して、月一回開催しています。
……各ブロックの活動は自主性に任せている?
NPOにとって、一番大事なのは上意下達ではないというところだと思います。一人ひとりが自主的に動く総体としてNPOがあると私は思っているので。
私の役職名が議長で、理事長や代表ではないのも、わざとです。私がするのは議事の進行。会の方向性に対するアイデアは出しますが、それに乗るかどうかは皆さん次第ですから。

講座企画からスタートするコーディネート

……講座の内容について教えてください。
年4回の講座で、半日または一泊二日がそれぞれ2回という構成です。
内容は「防災とは?」「ボランティアとは?」「コーディネーターの役割」など、災害時のボランティア活動についての基礎が必ず入っています。
それから「被災するということ」。ボランティアコーディネーターと言うと、ボランティアをコーディネートできればいいと思う人がいますが、一番大切な役目は被災地、被災者が復興するための手伝いです。その手段としてあるボランティアという道具を、被災者が上手く使えるようにするのがコーディネーターです。そのためには、被災者の気持に寄り添う必要がありますからね。
もう一つ大切なのは日常活動。災害が起こった時だけの活動ではありませんから、平常時に何をするか、できるかを考えなくてはいけません。
……受講料は?
県からの委託事業の時は無料。昨年から自主事業になりましたので、年間受講料一万円で運営しています。
……講座の企画はどうやって行うのですか?
一番最初に養成協議会のメンバーで作った時は、マニュアルや県からの指示が一切無かったので、とにかく手探りで考えました。
最初は「ボランティアコーディネーターって何だろう」ということ。半年ぐらいかけて、皆で侃々諤々の議論をしました。それで、その内容を受講生に伝えようということになりました。
とにかく、自分たちでできることを伝えていく。必要だと思ったことを企画にしてみる。このプロセスを何度も繰り返して、一応の流れが見えてきたのは講座を開始して、5〜6年経った頃でした。
……企画は全員で考えるのですか?
毎年、受講生を勧誘していますが、企画をメインに考えるのはその人たち。つまり、前年度の受講生が今年度の企画を作っています。
実は、受講生というのは訓練対象で、コーディネーターとしての本当のスタートは、受講後、企画に回ってもらったところだと、私たちは思っています。覚えることが大事なのではなく、伝えることが大事ということです。毎年、企画者が違いますから、テーマは一緒でも講座内容は違ってきます。それも私たちの講座の面白いところです。
……企画の進行は?
企画を作るには月一回程度は会議を行う必要があるので、現在は各ブロック単位で企画を担当してもらっています。第1回講座は北勢、第2回は中勢…というふうです。一年の講座はひとまとまりでありつつ、一つひとつの企画が独立しているのです。
……今年度の企画は?
今年度は伊勢湾台風50年、2004年の水害から5年という二つの区切りが重なるので、風水害をテーマにし、講座の基本を押さえながら企画するよう、各ブロックに声かけをしようと考えています。
2008年養成講座の様子。

……法人化で変わったことはありますか?
任意団体でできることと、法人化して意識が高まってできることは違うと、わかりました。以前は、養成講座だけ行っていればいいと思っていましたが、今は地域の防災啓発や行政や他の団体とのネットワークを作ることにも意識が向いています。各ブロックでも、地元の防災訓練に参加したり、地域の行政や団体とネットワークができているので、意識や責任が高まっていると思います。
……他の団体や行政との関係は?
依頼があれば、防災啓発講座の講師やワークショップのコーディネーターも引き受けます。
あと、今年は伊勢市と協働事業を行う予定です。内宮前に「おはらい町」という観光地域があり、そこで活動しているNPO団体 “おはらい町会議”が「おはらい町」の避難対策を考えたいと提案されて、うちは防災のノウハウを提供することになりました。伊勢市の防災、観光の各部署にも参加してもらおうと考えています。一つの集客施設であれば防災対策も難しくありませんが、「おはらい町」のように業者が集まって、地域で観光誘客をしている場合は、災害時の責任がどうなるかとか、いろいろ問題が出てきます。
「おはらい町」で対策を考えれば全国的に通用するノウハウになりますし、県内には二見や鳥羽など、観光地が多くありますからね。これは講座と並ぶ、新しい柱になると思って、力を入れています。
……他団体との協働経験は?
昨年は三重県国際交流財団から委託を受けて、災害時に外国人と積極的にコミュニケーションを取れるボランティアの養成講座を提案しました。国際交流と防災と言うと通訳ボランティアを想像しがちですが、災害という生死に関わる問題に直面した時、中途半端な通訳をするわけにはいかないでしょう。そこで僕らのノウハウとして提案したのが「外国人が困っていることを知っている市民を増やすこと」でした。これはいい内容の事業になったと思いますし、勉強にもなりました。あと、難病団体と協働して、専用の防災マニュアルを作りました。
法人化以前のことですが、「1型糖尿病」の全国的な患者会 “日本IDDMネットワーク”の方と知り合う機会があり、3年ほど災害時行動についての検討事業を行い、冊子にまとめました。「1型糖尿病患者」はインシュリンが無いと命に関わるのですが、阪神・淡路大震災で入手困難になった時、患者さん同士が融通しあって助け合ったことがあったそうで、より日常からの備えの検討をしたいと考えていました。NPO的には、異業種と言うのでしょうか。そのネットワークで防災活動を行う、面白い展開になってきていると思います。
2008年県総合防災訓練の様子。

【データ】
516-0005 三重県伊勢市竹ヶ鼻町170番地1
Tel.050-7000-6029
Fax.050-7000-6029
E-mail webmaster@v-bosaimie.jp
ホームページ http://www.v-bosaimie.jp/mcdp/
●代表者/山本康史
●団体設立年月日/平成19年11月10日
(前身となる任意団体は平成12年設立)
●NPO法人化年月日/平成20年3月4日
●会員数/97名(平成21年5月1日現在)
●会費/3000円/年

おねがい
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(1)原稿はニュースにそのまま掲載できる状態にして、毎月10日までにお送りください。
(2)送付はE-mail(ない方はFAX)で。その際、「市民活動・ボランティアニュースへの掲載のお願い」と件名を明記してください。
E-mail center@mienpo.net Fax.059-222-5971


転載を希望される場合は必ず「みえ県民交流センター指定管理者:みえNPOセンター・ワーカーズコープ」に連絡してください。
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